角川文庫<br> 女神記

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角川文庫
女神記

  • 著者名:桐野夏生【著者】
  • 価格 ¥649(本体¥590)
  • KADOKAWA(2021/06発売)
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  • ISBN:9784041000205

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内容説明

遙か南の島、代々続く巫女の家に生まれた姉妹。大巫女となり、跡継ぎの娘を産む使命の姉、陰を背負う宿命の妹。禁忌を破り恋に落ちた妹は、男と二人、けして入ってはならない北の聖地に足を踏み入れた。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

358
桐野夏生氏の神話伝承への初挑戦(おそらくは)。小説の基軸となっているのは、『古事記』で語られるイザナキ・イザナミ神話。そして、そこにもう一つの核を構成するのが沖縄久高島の神事と伝承である。さらに言えば、古事記の語り部、稗田阿礼を女性に設定したこと。主題的にはイザナミを主軸に、ナミマとともに、女が太古の歴史から今に至るまで、宿命的に背負わされた業と怨念を語ったもの。構成の上からは3つの部分からなるが、やや統合性に欠けるか。意欲はわかるが、やはり桐野氏は現代社会の中での女たちを描く方が本領を発揮できるようだ。2017/12/19

あも

80
紫式部文学賞受賞作。古事記に描かれるイザナギ・イザナミの国産み神話に題材を採った物語。桐野氏でこういった舞台設定は新鮮かも。とは云え桐野節はしっかり健在。神話の世界と対比するように古代日本の小さな島に暮らす人々が登場し、男女の愛憎をじっとり描く。愛する者に裏切られた二人の女性の自身ですらコントロールできない深い情愛と恨み。人の嫉妬、欲望といった桐野氏お得意のテーマが盛り込まれてるので面白くないわけない。ただ結構短めであっさりしており、まとまりはいいが、もっと脱線してしまっても良かったかなと思う部分もあり。2011/11/30

GaGa

54
「古事記」をベースにした神話ロマンSF。あえてSFと言わせてもらうのは「古事記」がそもそもSF作品のようなものであるから。とてもよく出来ています。感服しました。この続編も読みたいくらいだ。全体を包むのは切ないラブストーリーと憎しみ。イザナキとイザナミの愛憎劇はこのように解釈一つでとても楽しめるエンターティメントに変化する。2012/07/07

いいほんさがそ@蔵書の再整理中【0.00%完了】

53
**日本神話・伝奇**遙か南の島、代々続く巫女の家に生まれた姉妹。大巫女となり、跡継の娘を産む使命の姉。理不尽なしきたりを背負う宿命の妹。禁忌を破り恋に落ちた妹は、男と二人、けして入ってはならない北の聖地に足を踏み入れた!?(紹介文・他より)――傑作伝奇小説!男性と女性の愛憎に、上手く"古事記"の日本神話を織り交ぜることで、愛憎のエグさを現実と幻想の中間的な位置で描き切った。 ⇒続き2013/11/08

ジンベエ親分

48
「古事記」のイザナキ、イザナミの神話を作者による解釈で綴った「その後の物語」。稗田阿礼が国産み伝説からオオクニヌシが産まれたあたりまでを語るシーンでは「そんな周知の話をなぜ延々と」と戸惑ったが、要するにこれはこの話を知らない読者に対する懇切丁寧なサービス。死んで黄泉国でイザナミに仕えているナミマが蜂になって現世に戻るあたりから俄然面白くなり、イザナキとイザナミの因縁の決着までナミマの話と絡み合いながら読ませる。素直に話として面白いのだけど、エンターテイメントに徹するならもっと長く面白くできたろうに…2017/03/10

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