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内容説明
「私は日本の司法制度の人質ではない」と述べ逃亡したカルロス・ゴーン氏。担当弁護士が明かす、彼の実像と苦悩とは。そして、諸悪の根源「人質司法」の実態について、自らの経験と豊富な実証を基に、鋭く切り込む!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゲオルギオ・ハーン
27
カルロス・ゴーン事件を担当した弁護士がその事件を事例として日本の司法における過剰な容疑者への身柄拘束の問題点を指摘している。「疑わしきは罰せず」のとおり、事実が明確にされないうちは容疑者側に有利に扱われるはずですが、日本では勾留期間が長く、「証拠隠滅の恐れがある」という曖昧な理由での申請が裁判所で認められる。この理由はとても曖昧で弁護士が裁判官に説明を求めても「説明する必要はない」で済まされてしまう。また、黙秘権はあっても取調受任義務があって、長期間1日何時間も取調べを受けなければならない。2022/11/05
ねお
22
日本の刑事司法において、身体拘束や家族との接触さえ絶たれる(incommunicado )接見禁止が容易かつ反論の機会なくアンフェアに行われていることにつき、明治期〜昭和期の歴史から紐解き、英米法の制度と比較しながら論ずる。新書として一般向けにわかりやすく書かれているが、法制史・比較法・憲法論・行政手続と刑事手続の比較など専門性も高い。ゴーン事件に関しては、ゴーン氏の家族との接触禁止の不合理性や身体拘束に関する裁判の理由の不透明性について、国際法的知見からの指摘は学びが多い。また欠席裁判の提案は示唆的。2021/07/29
田中峰和
7
カルロス・ゴーン事件の担当弁護士が日本の司法制度の矛盾。国際基準から大きくかけ離れているのは事実らしく、何度も説明されるが頭に入ってこず、ゴーン逃亡事件の手際よさばかりが思い出さされる。担当弁護士だから当然だが、ゴーン夫妻の仲の良さや、彼の人格の素晴らしさが強調されるが、多くの日本人には外敵、ハゲタカにしか思えない。日産の業績が一気に回復したのは、彼の無慈悲なリストラによるコストカットのせい。多くの従業員家族の犠牲の基に達成したことを誰も忘れない。日本の国益を損ねたという点だけが思い出される。2022/02/06
加藤久和
5
日本の刑事司法のシステムは「推定有罪」であり「疑わしきは官僚様の利益に」ということになっているようで、どこが自由と民主なのか呆れるしかない恥ずかしさです。私達はいつ身に覚えのない罪を着せられて逮捕されるかわからない。逮捕されてしまえば警察や検察の毒牙から逃れる術はほぼ無く、長期拘留と過酷な取り調べにより破壊された生活、人生は二度と元には戻りません。しかしこの異常な刑事司法システムは残念なことにあまり国民の関心の的にはなっていないようです。他国のことを持ち出すまでもなく人権は今ここで抑圧されているのですが。2021/10/17
ユウ
3
著名な刑事弁護人が日本の刑事司法・刑事手続の現実を的確に切る一冊。黙秘権、勾留要件判断などの実態が、歴史的沿革からかけ離れた刑事司法上の運用によっていることを丁寧に説明してくれる。刑事弁護人であれば誰しも経験する違和感・刑事司法への憤り・ある種の諦念を真正面から示してくれる代弁の一冊でもあった。2022/05/15
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