岩石と文明 上 - 25の岩石に秘められた地球の歴史

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岩石と文明 上 - 25の岩石に秘められた地球の歴史

  • ISBN:9784806716181

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内容説明

地球が、この地面が、どのようにできてきたのか知りたい…………
富裕層の趣味から出発し、聖書の記述を否定し、
サイエンスとしての地球科学を築いた発見の数々と、
その発見をもたらした岩石や地質現象を25章にわたり描く。

古代都市を滅ぼした火山灰
アルプスで発見された古代人アイスマンが語る銅の時代
ナポレオンが考案した錫の缶詰
岩石の水成論と火成論に決着をつけた露頭
鉄隕石が示す惑星の核の組成
ジルコンの砂粒に含まれる初期海洋の証拠
無酸素の地球で形成された縞状鉄鉱層

どんな岩石にも物語があり、
地球の歴史を読み解く貴重な証拠に満ちている。
岩石や地質現象が秘めている魅力的な歴史的・文化的背景、
それらが人間の地球に対する考え方や暮らしをどう変えたのかを、
地質学の謎解きに魅入られ翻弄された人びとの逸話をまじえ、
主な岩石・有名な露頭・重要な地質現象に焦点をあてて解説する。

目次

はじめに

第1章 火山灰
火の神ウルカヌスの怒り──古代都市ポンペイの悲劇
神々の炎
大災害を目撃した歴史家
ベスビオス火山大噴火の後

第2章 自然銅
アイスマンと銅の島──銅をめぐる古代の争奪戦
アルプスで発見された古代人、アイスマンが語る銅の時代
東地中海に浮かぶ銅の島、キプロス
それは海底底の断片だった
深海底で――オフィオライトが銅などの鉱石に富むわけ

第3章 錫(すず)鉱石
ランズ・エンドの錫と青銅器時代
「地の果て」の錫
ナポレオンが考案した錫の缶詰
錫鉱石の起源は?
錫王国の瓦解

第4章 傾斜不整合
「始まりは痕跡を残さず」――地質年代の途方もなく膨大な長さ
ものごとの始まり
啓蒙時代――教会・貴族社会vs学者・科学者
地質学の道を歩み始めたジェームズ・ハットン
現在は過去への鍵である――斉一主義

第5章 火成岩の岩脈
地球の巨大な熱機関――マグマの起源
水成論と火成論――岩石はどのようにできたのか
カコウ岩がマグマ起源である証拠
躍動する地球

第6章 石炭
燃える石と産業革命
薪のように燃える黒い石――石炭
産業革命を推進する
石炭紀の名前の由来――夾炭層(きょうたんそう)
石炭がもたらす災い

第7章 ジュラシックワールド
世界を変えた地質図──ウィリアム・スミスとイギリスの地層
地球の切り口
地層同定の原理を発見
収監そして名誉の回復

第8章 放射性ウラン
岩石が時を刻む──アーサー・ホームズと地球の年齢
行き詰まった地球の年代推定
それは放射能だ!
放射性崩壊で測定する地質時間
年代測定ゲーム
プレートテクトニクスの創始者

第9章 コンドライト隕石
宇宙からのメッセージ──太陽系の起源
青天の霹靂(へきれき)
初期太陽系の痕跡
隕石中の生命

第10章 鉄隕石
他の惑星の核
論争のクレーター
天空からの訪問者
核の破片
至るところ鉛、鉛

第11章 月の石
グリーンチーズか斜長岩か?──月の起源
偉大な飛躍
月はどうやってできたのか―妹説、娘説、それとも捕獲説
衝突で吹き飛ばされた初期地球
月の輝く夜に

第12章 ジルコン
初期海洋と初期生命? ひと粒の砂に秘められた証拠
ダイヤモンド以上の高級品
地球最古の岩石は?
冷えた地球

第13章 ストロマトライト
シアノバクテリアと最古の生命
ダーウィンのジレンマ
疑似化石、それとも本物の化石?
シャーク湾で発見された生きたストロマトライト
ねばねばの膜におおわれた惑星

第14章 縞状鉄鉱層
鉄鉱石でできた山──地球の初期大気
鉄鉱山の富と花開く文化
無酸素の地球で形成された縞状鉄鉱層
酸素による大虐殺イベント

第15章 タービダイト
ケーブル切断の謎が明らかにした海底地すべり堆積物
問題その1・ちぎれた海底ケーブルの謎
問題その2・何百回も続く級化構造の不思議
問題その3・混濁流はどのように機能したのか
謎が解けた!

第16章 ダイアミクタイト
熱帯の氷床とスノーボール・アース
オーストラリアの地層の謎
氷成堆積物と石灰岩の互層
雪だるま、現れる
スノーボール、成長開始
全球凍結か部分凍結か?

図版クレジット
もっと詳しく知るための文献ガイド

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おおた

14
ナポレオンの時代に携帯食として缶詰が考えられたが、その素材は錫。オーストリアで見つかったミイラ「アイスマン」は銅の手斧を持っていた。人間の歴史は岩を調べて加工することで続いてきたとも言える。中でもおもしろいのがシアノバクテリア。30億年もの長期間に渡って地球上を覆い尽くし、酸素を作り出して、嫌気性のバクテリアたちを一掃してしまったという話。田舎の日陰でぶよぶよしている目立たない生物が、そんなに長い間地球上で繁栄していたことを想像すると、地球はいかに変わってきたかを考えてしまう。2023/01/07

ぐっちー

13
今現在、当たり前と思われている地球の誕生からの歴史。それを知るために先人たちは様々な工夫をしてきた。特に欧米では聖書の記述に逆らう研究だから、多分風当たりの強さは相当なものだっただろう。魚豊の『チ。』よりは時代が下っているとはいえ。それ以外にも興味深い話が目白押し。個人的には、錫の採掘を巡るヨーロッパ史の読み解きが面白かった。ナポレオンの遠征を支える糧食の存在は目から鱗だった。2021/11/26

はる

9
興味深い内容だった。最初の自然観察記録はタキトゥスの年代記に残されたベスビオス火山被災者の言葉だったようだ。自然銅の最初の利用は5300年前のアイスマンの斧とは驚きだった。石炭利用は大型蒸気機関を動かし産業革命を引き起こし、地質学的には3次元地質図作成を動機させたようだ。そのような興味からか19世紀ロマン派絵画には自然観察が深く描かれている。岩石の利用は様々な益と負の弊害をもたらし、炭鉱労働者の長時間労働や児童労働。児童の従事は身体が小さいので狭い坑道にうってつけだった。2021/06/20

勝浩1958

5
火山灰(古代都市ポンペイの悲劇)、自然銅(アイスマンと銅の島)、マグマの起源、放射性ウラン(放射性崩壊で測定する地質時間)、コンドライト隕石(太陽系の起源)、月の石(月の起源)、ストロマトライト(シアノバクテリアと最古の生命)等々、過去に読んだ書籍から記憶に残っている言葉が頻出しているので、興味が湧かないはずがなかった。下巻も楽しみ!2022/02/06

やす

4
研究の歴史から書かれており、研究の進み方を追体験できる2022/06/29

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