講談社学術文庫<br> 日本冷戦史 1945-1956

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講談社学術文庫
日本冷戦史 1945-1956

  • 著者名:下斗米伸夫【著】
  • 価格 ¥1,430(本体¥1,300)
  • 講談社(2021/06発売)
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  • ISBN:9784065239780

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内容説明

〈日本にとって冷戦とは何だったか。冷戦にとって日本とはいかなる存在だったか?〉

1945年8月に崩壊した旧日本帝国の空間をいかに管理するかをめぐる同盟国間の対立が激化、ここにこそ冷戦、とりわけアジア冷戦の起源があるという認識から、本書は出発する。

連合国という同盟関係は、枢軸国という敵の消失とともに内部での齟齬が拡大し、12月のモスクワ外相会議において形式的にも終焉を迎えた。そして同時に、のちのサンフランシスコ条約の規定にいう、旧大日本帝国が「放棄」した台湾、朝鮮半島、千島、満洲といった地域の主導権をめぐって、英米ソ中の各国による主導権争いが始まる。モスクワのケナン臨時大使が、冷戦の開始を告げる著名な電文を送るのに先立つこと2ヵ月前のことである。帝国崩壊後の日本列島やポスト帝国空間の管理をめぐる対立こそ、広島への核兵器投下が核時代への移行を告げたことと並んで、冷戦の文字どおりの第一頁となったのである。

冷戦の起源は、ヨーロッパをめぐる米ソ対立にあるというのが、欧米と日本いずれの歴史学でも自明とされてきた。この場合の冷戦とは、戦後国際政治の中で米ソが覇を争った状況を指している。しかしながら、米ソだけがその過程に関わったわけではない。グローバルな冷戦の起源において日本こそは枢要な現場であり、そしてアジア冷戦においては終始重要な舞台であり主題であり続けた。そうした視角から、本書の論考は展開される。

旧大日本帝国、東欧、そして核。この三要素による多元的利害関係のもとに米ソ中英仏が駆け引きを繰り広げる中、日本政治、とりわけ日本共産党の動向と響き合い、歴史が展開してゆく様を、ロシアはじめ各国の史料から丹念に描き出す話題作、全面増補改訂!


【本書の内容】
序章
第一章 日本占領と冷戦の起源
第二章 日本管理、東欧管理、核管理
第三章 冷戦のなかの日本(一九四六―一九五〇)
第四章 同盟・戦争と講和
第五章 危機の中の日本共産党
第六章 五五年体制―冷戦の再編成
終章

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

nagoyan

9
優。旧ソ連史料を駆使して、従来明らかではなかった冷戦のもう一方の当事者の視点から、日本占領をめぐる冷戦の実相を描く。米ソ冷戦の起源として核兵器開発が大きな意味を有していた。スターリンの地政学的政治姿勢は、イデオロギー対立よりも対話を可能にしたが、それが勢力圏の分割として「冷戦」を体制化したともいえようか。アジアでは、中国革命が大きな影響を与えた。その日本社会への影響が日本共産党の内紛・路線の迷走に現れた。2021/07/25

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