統治と功利 - 功利主義リベラリズムの擁護

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統治と功利 - 功利主義リベラリズムの擁護

  • 著者名:安藤馨
  • 価格 ¥4,400(本体¥4,000)
  • 勁草書房(2021/06発売)
  • ポイント 40pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784326101696

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内容説明

本書では、個人が何をなすべきかではなく、いかなる法・国家制度が望ましいかを問う「統治理論としての功利主義」に焦点を当ててその構想の輪郭を描き出す。時代遅れの教説として真剣な検討の対象にさえされないといった戯画化された功利主義批判に一石を投じ、統治功利主義がリベラリズムの最良の構想でありうることを明らかにする。

目次

はじめに

第I部 功利主義の諸形態と具体像及びその内在的批判

第1章 統治理論と個人道徳
 1.1 統治理論と個人道徳の差
 1.2 統治功利主義の名宛人
 1.3 制度と個人
 1.4 総督府功利主義
 1.5 正義の理論としての統治功利主義
 1.6 小括

第2章 行為功利主義と規則功利主義
 2.1 功利主義的一般化
 2.2 功利考量対象の規則への限定
 2.3 最適規則体系の条件
 2.4 統治功利主義に於ける規則の位置
 2.5 小括

第3章 直接功利主義と間接功利主義
 3.1 客観的評価と主観的受容
 3.2 間接帰結主義に対する批判と応答
 3.3 間接帰結主義のモデル

第4章 厚生と内在的価値
 4.1 善の功利説
 4.2 指標的功利説
 4.3 それは「誰」の厚生か?

第5章 主観的功利説と客観的功利説
 5.1 客観説
 5.2 主観説

第II部 功利主義に対する外在的批判とその検討

第6章 帰結主義批判と応答
 6.1 帰結主義について
 6.2 帰結主義と個人

第7章 厚生主義批判と応答
 7.1 適応的選好形成
 7.2 快楽生産の効率性

第8章 総和主義批判と応答
 8.1 方法論的個人主義による総和主義の論証
 8.2 経済学的論証
 8.3 還元主義的人格観

第III部 功利主義とリベラリズム

第9章 善と正義 功利主義はリベラルか
 9.1 善に対する正義の基底性
 9.2 功利主義はリベラリズムの「劣った構想」か

第10章 功利主義に於ける国家と個人
 10.1 統治手段としての自律
 10.2 国家介入の境界

結語

文献一覧
あとがき
索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

小鈴

5
やっと本屋で見つけたが、給料日前の金欠ちゃんなので忘れないためのメモ。厚生経済学、社会的公正論、正義論に関心のある方は要チェックかも。尚、こちらは修論を修正して刊行したもの。博論も楽しみに待ってます。2009/06/27

すずき

4
読書会で再読。2年前より高い解像度で読めた分、改めて凄さを実感。?と思った点は概ね注等で触れてる。以下、比較的ケアが薄い論点を例示(無論これで価値が下がることもない)。①効用の個人内・異個人間比較問題。②古典的な批判として、「たくさんの人の頭痛が少し良くなる>一人死ぬのを避ける」ことの反直感性への応答。ならびにwhole-life/temporal厚生周辺の論点(比較的新しい)。③動物と外国人の扱い(第Ⅲ部)。④集合行為周辺(新しい)。ただ、ここ10年の研究にも応答しうる材料が既に展開されてるとも思う。2020/09/14

大道寺

4
統治理論としての功利主義を擁護する書。書き方がいちいちわかりにくくて「一般人がついてこれないようにわざとわかりにくくしているのかッ!?」と少しイラついたこともあったけど、わからないところは一旦飛ばしても流れは概ね追えるし、面白い。読みにくさはともかく、議論の進め方に著者の知的誠実さ(自分で使っておいてなんだが実に嫌な言葉だ)を感じた。(1/3)2013/04/21

じょに

3
誰も主張しないのに批判ばかりされる功利主義の洗練化。「社会的不正義を批判する(ii)」為の「その主たる名宛人を統治者(p.5)」とする、統治原理としての統治功利主義。「統治功利主義は、我々を『人格』の桎梏から解放せしめるものとして目下の統治技術の発展を基本的に称揚し、濫用を防止しつつその正しい使用を確保せしめるような統治アーキテクチャが如何に可能かを問おうとするのである(pp.279-280)」これに対する「名宛人は神なのではないか」って大屋コメントは言い得て妙。何度か読み返すでしょう。2009/02/20

プロムナード

2
『闇の自己啓発』を機に読んだのですが期待にたがわぬ名著。優しいセカイをつくる(≒世界の幸福を最大化する)には人間を超越した合理性と計算力がいるという話から「神」のような理想的主体が想定されるところにまずやられます(AIなら神になれるのでは?)。その理想的な統治のあり方を突き詰めるクライマックスでは「(個人の、単一のものとしての)人格」にしがみつく必要はない、自他を区別する必要もないという結論が導かれ、「諸意識を人格の軛より解放せしめよ!」という宣言には脳内で拍手喝采。勇気と知恵をもらえました。2023/04/16

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