集英社文庫<br> 大人は泣かないと思っていた

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集英社文庫
大人は泣かないと思っていた

  • 著者名:寺地はるな【著】
  • 価格 ¥627(本体¥570)
  • 集英社(2021/06発売)
  • ポイント 5pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784087442342

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内容説明

時田翼32歳、農協勤務。九州の田舎町で、大酒呑みの父と二人で暮らしている。趣味は休日の菓子作りだが、父は「男のくせに」といつも不機嫌だ。そんな翼の日常が、真夜中の庭に現れた“ゆず泥棒”との出会いで動き出し……(「大人は泣かないと思っていた」)。恋愛や結婚、家族の「あるべき形」に傷つけられてきた大人たちが、もう一度、自分の足で歩き出す──色とりどりの涙が織りなす連作短編集。

目次

大人は泣かないと思っていた
小柳さんと小柳さん
翼が無いなら跳ぶまでだ
あの子は花を摘まない
妥当じゃない
おれは外套を脱げない
君のために生まれてきたわけじゃない

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

エドワード

207
九州の田舎の肘差村。合併して耳中市肘差になっても、他人の噂を娯楽として消費する<九州男児>の村は相変わらず。酒飲みの父と二人暮らしの農協職員、時田翼。隣家に住む祖母の世話をする小柳レモン。翼の同僚、平野さんや飯盛君、翼の親友、鉄也。先の見えない不安を抱えながら精一杯生きている。優しいよね。気を使い過ぎるよね。やっぱり世間が狭いからかね。人は誰かのために生まれてきたわけじゃない。だけど、一緒にいられたら嬉しいよね。私も子供の頃、大人は泣かないと思っていた。自分が大人になったらそんなのウソだとよくわかったよ。2021/06/27

ショースケ

198
やっぱり寺地さん好きだなぁ。優しい表現でぐいぐい心持っていかれる。九州の田舎町で育った時田翼32歳独身。朝から晩まで酒を飲む父と2人暮らし。口うるさい隣の婆さんとたった二軒の超田舎。農協に勤務し、職場の人たちから自分たちも田舎町なのに翼の所よりはマシと変なプライドを持たれる。趣味はお菓子作り。男のくせにナヨナヨしていると父からは文句を言われる。でも翼くん好きだな。優しくて酒の席の女子のお酌の決まりをなくす夢がある。隣の孫、出て行った母、友達の鉄矢、昭和の塊の職場の父親などの観点から章が成り立つ。優しい本!2023/02/19

mariya926

167
色々な立場の人の物語が凝縮しています。特に主人公は周りの人に色々と言われて傷ついていますが、それでも一歩一歩自分の道を歩み、自分の言葉で語っているのが凄いです。時に頑固にも自分の道を行こうとする時に、さり気なく周りの人が助けてくれる。それも主人公の生き方に共感しているからだと思います。玲子さんの短編を読みながら、私も1歩間違えば離婚していたのかも?と思いました。離婚した家族、再婚した家族、昔ながらの家、結婚して家を出たい人、同棲を解消した人などなど『それなりに幸せな瞬間はあるんだよ』というのが結論かな?2021/09/21

hiace9000

157
九州の田舎で父親と二人暮らし。JA職員の時田翼32歳の自宅に不審なゆず泥棒が? ここから始まる物語。ひょんな出会いから始まるーなんて王道恋愛小説かと思いきや、そこは他と一線を画す、ザ・寺地作品。ドラマ仕立ての7連作短編は一話ごと読み手に色んなものを投げかけ、それを投げ返させる、まるで自分との対話のようにも思えて。当たり前とされて来たことの不自然さや理不尽さ、常識に安住し依存して無理を通す甘えや幼さにもピシャリと×を突きつける。自分らしさの本質って?その答は、是非素敵な登場人物達とともに考え見つけてほしい。2022/12/14

黒瀬

149
大人になればなんでも出来るようになると思っていた。ある日を境に強くなると思っていた。実際は歳だけを重ねたーー 昔ながらの風習。男は、女は、こうあるべきだという鎖。それを自ら断ち切り、反対にがんじがらめに絡め取られ進むことも退くことも出来なくなった人たちを丹念に描いた連作短編。間近で起きている日常はそれぞれが選んだ膨大な選択肢の果て。決してドラマチックではないが、だからこそ伝わるリアリティがある。人生の岐路に立たされた人の指針となるような物語でした。2021/05/14

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