内容説明
「類稀なる傑作。私たちの甘さを根底から容赦なく揺さぶってくる」(東山彰良氏「解説」より)
金だけだ。金だけがあてになる唯一のものだ――。
戦後まもない香港で、故郷を捨てた台湾人たちがたくましく生き抜く姿を描き、一九五六年、外国人初の直木賞受賞作となった「香港」。日本統治と国民党の圧政のもと、ある台湾人青年が味わった挫折と虚無を主題とする「濁水渓」。著者の青春時代が結晶した代表作に、作家デビュー当時を回顧した随筆「私の見た日本の文壇」を増補した新版。〈解説〉東山彰良
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Aminadab
22
「濁水渓」が1954年、「香港」が1955年で同年下半期直木賞受賞作。「濁水渓」は実録『我が青春の台湾』そのままでちょっとBLなど潤色が入っている。「香港」は逆に作者本人の体験は希薄で、同じ香港にいてもずっと辛い目に遭った同世代の台湾の若者からの聴取をまとめた感じ。たとえば少年期の貧しさを描いた小説は当時の日本に溢れていたとしても、それが昂じて写実なのにピカレスク(悪漢小説)になりえている作品は日本にはなかったのではないか。のしいか売り、伊勢海老採り、カサブランカ人茶商欺しなど、普通に面白いですよ。2022/11/19
ひつじ
5
始終好きだなぁで読んでしまったので、あまり他人に語る気がない。読後で感情が飽和状態になっている。チラッと彼の書いたビジネス書の表紙を見たが、あんな胡散臭そうなビジネス書を書いてる人がこんなにいい小説を書いたのかというところのギャップがすごい。二作入っているが、どちらもよかった…とひたすらぼやくようなことしか書けないのでもうやめよう。2021/07/30
rinrinkimkim
4
面白かった!中国に返還される前の九龍島が生き生きと描かれてて諦めず、ド根性としたたかさと知恵で生き抜く若者たち。裏切られても裏切ってもそれは今日のごはんのため。カラッとしているんですよ。春木も最初はカモられっぱなしだけどどんどん成長していくし。リリにもタヌキだし。混沌とした街香港が舞台の青春グラフティです!本書は今年の1冊に入れたいと思います。そのくらい面白かった2024/11/14
ふたし
3
直木賞受賞作の「香港」と、その前日譚とも読める「濁水渓」。作者の邱永漢氏は、株とか財テクのイメージだったので、少し意外な内容。まぁ、最後は金、になるのだけど。2023/08/10
さしすせそ
1
再読。内容はさておき、やっぱり面白い本だ2023/12/17
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