中公新書<br> 文部科学省 揺らぐ日本の教育と学術

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中公新書
文部科学省 揺らぐ日本の教育と学術

  • 著者名:青木栄一【著】
  • 価格 ¥990(本体¥900)
  • 中央公論新社(2021/05発売)
  • 2025→2026年!Kinoppy電子書籍・電子洋書全点ポイント30倍キャンペーン(~1/1)
  • ポイント 270pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784121026354

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内容説明

文部科学省は2001年に文部省と科学技術庁が統合し、発足した。教育、学術、科学技術を中心に幅広い分野を担当する一方で「三流官庁」とも揶揄される。実態はどのようなものか。霞が関最小の人員、キャリア官僚の昇進ルート、減り続ける予算など実状を解説。さらに、ゆとり教育の断念、働きすぎの教員たち、大学入試改革の頓挫、学術研究の弱体化など続出する問題に迫る。官邸や経産省に振り回される現状は変えられるか。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

trazom

117
文科省の生い立ち、組織、課題などが非常によくわかるいい本だ。義務教育では機会均等、大学教育では護送船団を目指し、教育委員会や国立大学を間接統治して政策を進めてきた教育行政だが、学力低下、教員の過重労働、大学の国際ランク低下などの課題に直面して対応が迷走している。一方、科学技術政策では、役立つ研究・儲かる研究への選択と集中で、学術が経済の下僕に成り下がろうとしている。文科省の「三流官庁」ぶりが嫌というほどわかるが、そもそも、教育という国家で最も重要な政策を司る官庁を三流にしているのは政治の責任ではないのか。2021/05/12

佐島楓

66
第2章「職員たちの実像」によると、文科省は他の省庁に比べ多様な大学からの出身者を採用しているようだ。いわゆる「ノンキャリアの幹部職員登用も行われるようになった」ともある。教育行政に必要なのは多様な視点であり、前述した点は強みになる可能性もある。また人間の一生を考えた場合、初等・中等教育などの各教育機関を卒業するたびに担当する職員も変わってしまい、問題があってもフォローできない体制がある。一人の人間に対しての継続したケアを可能にするにはどうすればよいのかと読んでいて考えた。2021/05/19

venturingbeyond

42
うちの業界の監督官庁の宿痾をこれでもかと指摘し、そのダメさ加減を明解に分析した好著。とりわけ、第4章・第5章の指摘は、業界で禄を食む者すべてが首がもげるほどうなずき、ゆえにこれからを展望して暗澹たる気持ちになる本書の肝。終章に示された「間接統治」への対応策はいかにも弱く、なかなか前向きな気持ちになれないが、まずはこの本が示した問題点や教育行政の課題が広く共有され、世論の圧力が髙まることを期待というところ。微力ながら、身のまわりで広報活動からですかね。2021/05/30

アナクマ

29
「不正防止のために、海外の研究者に帰りの航空券の半券を郵送させる仕事など、世界のどこにあるのだろうか。」ほへー。2021/08/25

アナクマ

27
官邸や他省庁には弱いが、教育委員会や大学には強い文科省(外地蔵の内弁慶)。そのため、上からの間接統治に利用されるがままである。◉なぜなのか?はさて置き、5章終章を中心に。「間接統治は誰も責任をとらない」「統治する側も文科省も苦労しない」どうすればいいのか。それは「金目の話、ロビイング活動、そして政治から逃げないこと」だと主張。◉また、大学人としての立場から「大学は、研究に基づいた教育の場で」「官邸が救いの手を差し伸べる保証はない」。文科省にも責任はあるが、自立の道を探るべきだと説く。2021/08/26

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