牧師、閉鎖病棟に入る。

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牧師、閉鎖病棟に入る。

  • 著者名:沼田和也
  • 価格 ¥1,430(本体¥1,300)
  • 実業之日本社(2021/05発売)
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  • ISBN:9784408339825

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内容説明

なぜ人を傷つけてはいけないのかがわからない少年。
自傷行為がやめられない少年。
いつも流し台の狭い縁に“止まっている”おじさん。
50年以上入院しているおじさん。
「うるさいから」と薬を投与されて眠る青年。
泥のようなコーヒー。
監視される中で浴びるシャワー。
葛藤する看護師。
向き合ってくれた主治医。

「あなたはありのままでいいんですよ」と語ってきた牧師が
ありのまま生きられない人たちと過ごした閉鎖病棟での2ヶ月。

これまで牧師としてスーツを着て見舞いに行っていた病院へ、わたしは患者として入院しに行く。その病棟は、自分では自由に開閉することのできない分厚い扉で仕切られている。
(序章より)


<目次>
序章 肩章を剥ぎ取られる
事件の顛末

第一章 牧師が患者になる
ショックの連続
トイレの掟
ヨガ行者のおじさん
etc…

第二章 少年たち
競い合う少年たち
1頁読むのに10分かかる
おねしょ

第三章 十字架
彫り物のおじさん
泥コーヒー
元少年A
看護師の十字架
etc…

第四章 診断
知能検査
認知行動療法
「ありのままのわたし」でいいのか?
医師を操ろうとする
SNS依存
etc…

第五章 過去
自分の顔
震災
脱走
伝道者
一切口を聞いてくれない青年
etc…

終章 こだわるのでもなく、卑下するのでもなく
珍しい患者
主治医の家に行く
介入するのがよいか、見守るのがよいか
etc…

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

trazom

135
自閉スペクトラム症的な発達障害により、激昂し暴言を吐く行為が重なって、精神病院の閉鎖病棟に入院した牧師の著者。本の前半で描かれる閉鎖病棟の内部の様子は、読むのが辛い。でも、素晴らしい主治医の先生に支えられながら、著者が「牧師として、苦しんでいる人を指導していると思うのは、神の前での思い上がりだった。私もまた、弱い一人の人間に過ぎなかった」と気づき、そして「もう一度牧師をしたい」と再出発する物語である。偏見や誤解を恐れず自らの経験を語る著者の勇気を、愛と寛容で受け入れることのできる社会でありたいと思う。2021/07/20

ゆいまある

115
高校時代から不適応を繰り返し、成人後牧師の傍ら、幼稚園の園長をやっていた筆者。慣れない仕事に行き詰まり、興奮状態になった際、自殺の危険があった為医療保護入院となる。筆者の経歴や、ゼロか百かの極端な思考は後半で明かされる。前半は、不幸な生い立ちながらも顧みられることなく長期入院となっている患者達について語られる。精神医療の闇でもあるが、切なくも美しい文章に息を呑む。愛ある筆で彼らを書き残してくれた ことに感謝したい。纏まりの悪さはあるが、ツイッターの海に沈む寂しさが胸に迫る。これからも幸せに生きて欲しい。2021/11/23

どんぐり

103
教会に隣接する幼稚園の園長だった牧師が副園長を罵倒し妄想性障害の疑いで患者となった。本人の病識は余り語られていないものの、自死の危険があるとして、閉鎖病棟に2か月、開放病棟に1か月入院。牧師が精神科病院で何を見て何を感じたのか、これは彼の個人的体験記である。食事の量が多いか少ないかで神経を尖らせている患者たちの日常を切り取った風景があったり、「夕日がきれいだね」と語りかけても、その感情を共有する反応を見せない同室の少年がいたり、永い期間一緒に入院生活をしていた親友の転棟により唯一の「社会」の窓を喪い→2021/08/26

kaoru

83
引きこもりを経て牧師および幼稚園の理事長になった著者は41歳の時職場で暴言を吐いたことをきっかけに精神を病み、閉鎖病棟に3か月間入院する。何十年も入院し家族からも見捨てられた患者・妹を金づちで殴った発達障害の少年・リストカットを繰り返す少年などとの交流を通じ著者はキリスト者としての自分を見つめ直す。患者達の境遇の悲惨さには胸が詰まるがこれも日本の一つの実態だ。神戸の震災の経験、SNS依存、自らの発達障害などの記述もある。開放病棟に移りやがて退院した著者は「彼らとの対話が私の凝り固まった常識をことごとく→2023/10/16

いっせい

75
精神障害を発症し、以前から慰問に訪れていた病院の閉鎖病棟に、自ら患者となって入院した牧師の体験記。私は閉鎖病棟で働き、患者を支えている方の立場なので、“閉鎖病棟あるある”エピソードの数々に共感し、また患者目線からの言葉に、新鮮さを感じた。筆者は3か月で退院できたそうだが、これは理解ある妻、主治医の支えがあってこそ。恵まれている方ではないか?できれば、退院して社会生活を送りながらのその後も書いて欲しかった。2021/12/25

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