筑摩選書<br> ディズニーと動物 ――王国の魔法をとく

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筑摩選書
ディズニーと動物 ――王国の魔法をとく

  • 著者名:清水知子【著】
  • 価格 ¥1,595(本体¥1,450)
  • 筑摩書房(2021/05発売)
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  • ISBN:9784480017222

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内容説明

ウォルト・ディズニーが創造したエンタテインメントは、米国大衆文化の代名詞であり、世界中を席巻している。姫と動物たちが織りなす夢と魔法の世界はいまなお拡大を続けるいっぽう、巨大資本を投入した反自然的な世界、徹底的に飼いならされた無菌化された世界でもある。ディズニーの物語は、現代の政治、社会、文化、自然に何をもたらしたか。その映像は私たちにどのような影響を及ぼしてきたか。その世界の舞台裏を探る。

目次

序章 ディズニーと映像の政治学
魔法の舞台裏
テクノロジー、動物、モダニズム
疎外のファンタジー
映像とエコロジー
第一章 ようこそ、ウォルトの不思議の国へ
ミッキー以前──アニメの国のアリス
アニメーションの揺籃期──ライトニング・スケッチとアニメーション
ペンとインク壺
描き始める黒い動物たち
ウォルトによる「不思議の国」のレシピ
猫と少女のパラドクス
第二章 ミッキーマウスの生態学
エイゼンシュテイン、ミッキーに会う
ミッキーマウスの誕生
ミッキーの身体造形
チャップリンミッキー
動物の身体とその美学
黒人性とジャズ
話すネズミ、歌うブタと「ミッキーマウジング」
ミッキーの憂鬱
第三章 姫と魔女のエコロジー──ディズニーとおとぎ話の論理
白雪姫の呪文を解く
グリムとディズニー──母の不在と分裂する女の身体
姫の身体、魔女の身体──声とまなざし
「ワイルド・センチメント」の世界へ
清潔の修辞学──姫は歌い、小人は踊る
「野生」のファンタジーとその論理
第四章 「バンビ・シンドローム」とネイチャー・フィルムの誕生
ネイチャー・フェイカーズ論争
『バンビ』と新たな挑戦
台本の変遷、人間の不在
「バンビ・シンドローム」と反狩猟プロパガンダ
アメリカの風景神話
「トゥルー・ライフ・アドベンチャー」と知覚の政治学
野生の詩学
「ファンタジアのアウラ」と拡張する模倣の地平
「ディズニー・ドクトリン」とその 末
動物たちのラティテュード
第五章 象とサーカス──ダンボとジャンボの動物政治学
ジャンボ、死す
「レイルウェイ・サーカス」とフリークショーの時代
象をめぐるフォークロア──身体的逸脱と階級闘争の 末
魔法の羽根──ピンクの象とリージョナリズム
ティム・バートンの世界
第六章 ネズミは踊り、ドイツは笑う──戦争とプロパガンダ
ドイツにおけるミッキー伝説
ドイツの映画事情と大衆文化
帝国・動物・「人種」
ドナルドダックとプロパガンダ
隣人の図像学、文化の疫学
「戦争と平和」のレトリック
「桃太郎パラダイム」と種主義
第七章 ディズニーとSF的想像力──冷戦とアトミック文化の展開
惨劇とノスタルジー
原子力時代のメディアイベント
魔神をめぐるファンタジー──『海底二万哩』から「わが友アトム」へ
魔法の王国──「懐かしい未来」の構造
ニューヨーク万博とイマジニアの誕生
オーディオ・アニマトロニクスとミニチュアの美学
メディア帝国の都市計画──ショッピングモールとディズニー的公共性
ウォルトの夢の跡に
脱ディズニー化と懐古趣味的未来の行方
第八章 文化と所有──くまのプーさんと著作権論争
クマのプーさんの立役者たち
「くまのプーさん」の誕生
世界に羽ばたくプーとその仲間たちの試練
「くまのプーさん」訴訟事件
ミッキーマウス法の行方
「魔法をかけられた場所」と出会い直すために
終章 ポストディズニーの時代──プリンセス・動物・イノセンス
ディズニーミームとは何か
躍進するプリンセス
少女が変われば、自然も変わる──人魚から「人間」へ
「野性」を飼い馴らす美女、あるいは獣と主権者
ディズニーと「イノセンス」の政治学
『ズートピア』と楽園の論理──「野性」の行方、「正義」のややこしさ
本文注釈
あとがき
引用および参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

翡翠

10
文章は堅く読み辛いのだが内容は面白く、新たな目でディズニーを見ることになった。大人になってから何故かディズニー映画を観ても心から楽しめていない自分がいたのだが、その違和感が排除されたもののせいだと気づく。自然や動物、全てが統制された世界。土着民話を搾取し、ディズニー的に作り替えた罪。あまりに色んなことを知り過ぎてしまったために、夢の国の魔法が解けてしまったような気がする(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)2021/05/29

ちり

4
動物のキャラクターの描写の分析を通すことで、逆に時代ごとに“(一人前の)人間”の条件とは何だと考えられてきたかが炙り出されるところがあり、その流れで近年フェミニズム的作品が出てきたのは必然性があった(人間=西洋白人男性であった時代からの脱却の反映)、と考えることができるのかな。2021/03/28

あんすこむたん

2
ディズニーにおいての動物の描写ということだが、指摘がかなり鋭く、参考文献の使い方もいい。もっと専門的な本を見える前に情報を整理したり、次に見る分野を見定めるのによい評論。2021/10/29

itsuho

1
文章がちょっと読み辛かったが、内容は濃くて興味深い。2021/04/17

コバ

0
ミッキーがそうであるように、ディズニーには動物のキャラクターが多い。 さまざまな作品を取り上げて、その歴史的背景や当時の社会問題などに踏み込んでいく。 ディズニーの歴史としても読み応えがある。 多くの作品を作り続け、とうとう100周年を迎えたディズニーであるが、相変わらず作品やディズニーランドの人気は高い。作り手のクリエイティビティが高いのはもちろんだが、トレードマークとしてのミッキーがそのクオリティを下支えしている。2023/11/25

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