内容説明
「このまま忘れてもらおう」作戦に惑わされない。
偉い人が嘘をついて真っ先に逃げ出し、監視しあう空気と共に「逆らうのは良くないよね」ムードが社会に蔓延。「それどころではない」のに五輪中止が即断されず、言葉の劣化はますます加速。身内に甘いメディア、届かないアベノマスクを待ち続ける私……これでいいのか?
このところ、俺は偉いんだぞ、と叫びながらこっちに向かってくるのではなく、そう叫びながら逃げていく姿ばかりが目に入る。そんな社会を活写したところ、こんな一冊に仕上がった。(「あとがき」より)
第1章 偉い人が逃げる ―忘れてもらうための政治
第2章 人間が潰される ―やったもん勝ち社会
第3章 五輪を止める ―優先され続けた祭典
第4章 劣化する言葉 ー「分断」に逃げる前に
第5章 メディアの無責任 ―まだ偉いと思っている
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こーた
250
映画などでよく同じ時間をひたすら繰り返す設定というのがあるけれど、ここ数年、政治とその周辺でぼくらの見させられてきた事象も、ループなのかとおもうくらいどれもこれも似通ってばかりだ。映画なら試行と失敗を繰り返して状況が改善していくが、現実は破壊と逃走を繰り返しながらゆるやかに衰退している。説明はされず、責任は取らず、あろうことか逃げおおせた果てに気がつけばしれっと復活していたりする。忘れずに混ぜっ返し、事あるごとにそれおかしいですよとツッコミを入れる。そうやってどこかでこのループを断ち切らなければならない。2021/06/26
hiace9000
142
返す刀の切れ味は抜群の"砂鉄剣"! 脱力系エッセイも書けるソフトな筆を持ちつつ、刃毀れ一つなくひたすら粘っこく相手の暴剣を切り返す"不屈のハードライター"ぶりに、わたしは震えるほど痺れてしまう。本稿を剣道に喩えてしまうことの是非はさておき、武田さんの抜く"砂鉄剣"は一見、偏屈で癖強めの異端にも見える。だがいわゆる邪剣でも難剣の類でもない、正剣かつ豪剣である。故に相手の正中線を真っ二つにぶった斬る。その怒りの太刀筋が実に気持ちよく、絶妙なる切り口から斬り込む切先は読み手のモヤモヤとともに相手の骨までも断つ。2024/08/29
ハイランド
96
安倍元総理の暗殺は衝撃だったが、その死とともに彼の業績を讃え、神格化すらしかねない状況はどうかと思う。彼の起こした様々な問題を追求することや政策への評価すらはばかられる空気、政府がすることへの疑問や批判すらグチグチ言うなと責められたり同調圧力がかかる今という時代。政府のスポークスマンのようなマスメディア。いつからこんな息苦しい日本になってしまったのだろう。筆者の言説は非常に健全なものと思う。小気味良い論調と同時に改めて国のやっていることに腹が立つ。健全な議論がメディアでも国会でも活発に行われることを望む。2022/07/16
けんとまん1007
89
批判されること(非難ではなく)、これはどうなているの?と思わせることが、延々と続いているこの国。しかも、一つ新たなことが出ると、そっちへ行ってしまう精神構造を作り出されている。そのために、丁寧に説明するという名の説明逃避や、ご飯論法を続ける。それに慣らされてはいけないということだが、これが難しい。やはり、立ち止まって考えてみることから始めるしかないと思っているし、自分なりに自分の頭で考えること。2021/11/03
レモン
56
少し読みにくい文章だが、内容が面白くてどんどん読み進められる。100分de名著で著者を知りタイトルで手に取ったが、日頃感じているモヤモヤがきちんと言語化されていたので、私はこう思っていたんだな、と気持ちを確認できた。斜に構えて冷笑したり、ポジティブに評価しよう、も悪いとは言わないが、怒るべき時には怒らなくてはいけない。アベノマスクや素手でトイレ掃除の回が面白かった。2022/06/18
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