岩波現代文庫<br> 聞き書 緒方貞子回顧録

個数:1
紙書籍版価格
¥1,804
  • 電子書籍
  • Reader

岩波現代文庫
聞き書 緒方貞子回顧録

  • 著者名:野林健/納家政嗣
  • 価格 ¥1,694(本体¥1,540)
  • 岩波書店(2021/05発売)
  • ポイント 15pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784006033194

ファイル: /

内容説明

「人の命を助けること」,これに尽きます――.日本外交史研究者として出発しながら,国連にかかわる仕事を続け,民族紛争が激化した冷戦後には国連難民高等弁務官をつとめた日本を代表する国際派知識人,緒方貞子(一九二七―二〇一九).自らの人生とともに,日本を,そして世界を語りつくした回顧録の決定版.(解説=中満泉)

目次

はしがき 緒方貞子┴第1章 子どもの頃┴曽祖父のこと,祖父のこと/父とともにアメリカ,中国へ/太平洋戦争の開戦と終戦┴第2章 学生時代┴聖心女子大学時代/最初のアメリカ留学へ/岡義武先生の指導を受ける/再びアメリカへ┴第3章 満州事変研究┴片倉日誌との出会い/満州事変を解明する/「無責任の体制」としての戦前日本/結婚のいきさつ┴第4章 研究と教育┴河口湖会議へ/戦前日本の自由主義者/財界研究/米中・日中国交回復の比較研究/大学人として┴第5章 国連にかかわる仕事┴初めての国連総会出席/国連代表団での仕事/国連総会での印象深い議題/国連代表部公使として/ユニセフ執行理事会/カンボジア難民にかかわって/国連人権委員会での活動┴第6章 国連難民高等弁務官として(上)┴就任まで/クルド難民危機と「国内避難民」/サラエヴォ空輸と陸路輸送/泥沼化するボスニア内戦/スレブレニッツァ虐殺からデイトン合意へ/難民帰還と共生プロジェクトへ/コソヴォ紛争と空爆の逆説┴第7章 国連難民高等弁務官として(下)┴ソ連解体と民族紛争/ルワンダ難民の大量発生/難民キャンプの軍事化という問題/ザイールでの紛争拡大/難民の帰還から再定住,復興へ/ダボス会議の役割/UNHCRでの一〇年を振り返って┴第8章 人間の安全保障┴「人間の安全保障」委員会/人間の安全保障という考え方/国内避難民と人間の安全保障/人道救援と開発援助とのギャップ問題/「保護する責任」をめぐって/日本と「人間の安全保障」/9.11からアフガニスタン復興へ┴第9章 日本の開発援助を主導して┴JICA理事長就任のきっかけ/現場主義から始めた改革/「人間の安全保障」と開発援助/アフガニスタンとミンダナオ/アフリカの重点化/組織統合という難関/研究機能を強化する/これからのJICAへ┴終章 日本のこれからのために┴中国とどう向き合うか/開かれた多様性に基づく社会へ┴主な著作┴編者あとがき(単行本版)┴編者あとがき(岩波現代文庫版)┴解説 緒方貞子さんの真骨頂(中満泉)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

128
終戦が18歳の時。そんな日本人女性がつい最近迄国連で要職を次々と担われていたのだというのは日本の誇りだ。業績については再確認。勇ましい少女だった時代のことも知れたのが嬉しい。同期だった須賀敦子さんは、とてもインテリだったという印象に妙に納得。お転婆シャカリキの上流階級の緒方さんは三島小説に出てきそうだが、彼女は三島など挨拶だけで打ちまかせちゃうな。改めて思うのは国連を含む国際機関は廃れたなということ。事務総長も昔は立派だった。EU諸国がEU内だけで固まってきてしまったのも、一因としてあるかな。2020/03/28

ゲオルギオ・ハーン

27
国際政治学者でもあり、国連難民高等弁務官やJICAの理事長などの大役を歴任され国際社会で活躍された緒方貞子女史の回顧録。以前からとても気になっていた方でした。読んでみるとリアリスト的な鋭く冷静な考えをもちながら、行動は現場主義で電光石火のような素早さと男が聞いてもハードな職務を精力的にこなす活力と体力には感服しました。また、難民の救済について、ただ物資を配るのではなく、軍とも連携し、難民の生活環境、コミュニティの再建の土台を整えることまでも含めた総合的な支援をしていたことも読んでいて興味深かったです。2020/12/09

慧の本箱

17
曾祖父に犬養毅、祖父に芳澤謙吉、父親は外交官の中村豊一。この環境の中で緒方貞子氏の根っこが育ちます。そしてそれは彼女の弛まぬ努力と洞察力で花開いたと思われます。本書を手にすると、国際社会の混沌とした渦の中で、彼女のエネルギッシュで軸のぶれないシンプルな理念「人の命をたすけること」を大前提に奮闘する様が語られています。それはある種スペクタクル物を手にしている時のような・・否それよりもっとダイナミックな感覚が引き起こされます。彼女の残した大切なものがきっちり引き継がれていますように。2021/02/27

Inzaghico (Etsuko Oshita)

11
本書に一貫しているのは緒方の意志「人の命を助ける」、これだ。難民だろうが国内避難民だろうが、人間の命に重い軽いはない。そのためにどうすればいいか、規則でできないのなら規則を変えるまでだ、と実践主義、リアリズムでことに当たった。できない理由を並べるのではなく、どうしたらできるのか、を考えるのだ。そして現場を大切にした。自ら戦地に赴き、加害側の親玉に直談判することも辞さなかった。本人によれば、頭より先に体が動くのだという。アフリカ、とくにルワンダ虐殺で思うような活動ができなかった苦悩も明らかにしている。2021/05/29

ケン五

7
およそ世の中にはあちらを立てればこちらがたたず的な事案が多いが、難民問題などその最たるものではないだろうか。緒方さんは淡々と語るが、苦難も並大抵ではなかったことでしょう。批判や反論を受けつつも柔軟に今できることに邁進する緒方さんの歩みに、ただただ敬服するのみ。これからの日本に必要なことは多様性。コロナで同調性が高くなっている今こそ多様性を受け入れる柔軟性や寛容さ、感性を磨いておきたい。2021/08/19

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/15369222
  • ご注意事項

最近チェックした商品