岩波ジュニア新書<br> 情熱でたどるスペイン史

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岩波ジュニア新書
情熱でたどるスペイン史

  • 著者名:池上俊一
  • 価格 ¥1,056(本体¥960)
  • 岩波書店(2021/05発売)
  • ポイント 9pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784005008902

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内容説明

フラメンコや闘牛に表出する情熱的な国民性,異文化が融合する傑出した建築,パプリカやトマトで彩られた真っ赤な食べ物――.他のヨーロッパ諸国とはピレネー山脈にさえぎられ,長い年月をイスラームとキリスト教が影響しあい,特異な文化が育まれたスペイン.衝突と融和の歴史を,情熱的な国民性からひもときます.(カラー口絵8頁)

目次

はじめに┴第1章 ローマ属州から西ゴート支配へ 先史時代~中世初期┴アフリカの一部としてのスペイン/中央台地(メセタ)と乾燥した貧しい大地/イベリア人とケルト人/ローマの一属州として/都市の復興と鉱山開発/言語・宗教の統一/猛烈な気性/西ゴート時代とその遺産/大知識人セビーリャのイシドルス┴第2章 国土回復運動の時代 八世紀~一五世紀┴イスラーム時代のスペイン/後ウマイヤ朝時代の文化/レコンキスタ(国土回復運動)の進展/封建(ほうけん)制度の浸透度/タイファ(群小諸王国)の乱立/ムラービト朝からムワッヒド朝へ/トレドでの文化交流/巡礼地サンティアゴ・デ・コンポステーラ/スペイン・ロマネスク/中核としてのカスティーリャ/地中海に雄飛するアラゴン連合王国/コルテス(議会)の役割/叙事詩『わがシッドの歌』/宗教騎士団設立/異文化交流の果実/アルハンブラ宮殿造営/賢王(けんおう)アルフォンソ一〇世/破格の知識人ラモン・リュイ/質素な貴族と郷士然たる職人/情熱としての名誉/カトリック両王によるグラナダ解放とレコンキスタの完成/異端審問制(いたんしんもんせい)の開始とユダヤ人追放┴第3章 スペイン黄金世紀 一六・一七世紀前後┴見知らぬ土地への冒険の魅力/エンコミエンダ制/ラス・カサスの告発/太陽の沈まぬ国の形成/複合君主制の統治体制/経済の消長/イエズス会と海外布教活動/カトリックでのスペイン統一/「血の純潔」規約/鍋なべ釜かまに神を見る神秘家/十字架のヨハネの場合/ロマンセーロとピカレスク小説/国民文学としての『ドン・キホーテ』/古典演劇の開花/奇知主義と文飾主義/コンベルソの文化創造力/スペイン・バロックの装飾性/パーソ像と幻視絵画/民衆宗教の展開/「画家のなかの画家」ベラスケス/完璧な赤色を求めて/赤い食べ物/一七世紀の政治と経済┴第4章 ブルボン朝の時代 一八世紀前後┴スペイン継承戦争から対フランス宣戦へ/経済復興と貧しい農民/カトリック的啓蒙(けいもう)/闘牛の貴族的起源・民衆的起源/三場面の展開と規則・様式の確立/情熱の愛とドン・フアン伝説/愛される画家ゴヤ/民衆文化の勝利┴第5章 社会分裂と領袖(りょうしゅう)政治 一九世紀前後┴スペイン独立戦争からカルリスタ戦争へ/多発するクーデター宣言(プロヌンシアミエント)/スペイン帝国の崩壊/魂の音楽としてのフラメンコ/全一的な楽器,ギター/ロマン主義文学/地方の政治・社会を牛耳(ぎゅうじ)る領袖(カシーケ)たち/工業発展のきざし/王政復古と米西戦争/国民意識形成の難しさ┴第6章 内戦・自治州・EU 二〇世紀以降┴アルフォンソ一三世の親政と第二共和政/スペイン内戦からフランコ時代へ/ヨーロッパのなかのスペイン/地域ナショナリズムと自治州国家の完成/詩人ロルカ/ピカソ,ミロ,ダリ/建築家ガウディ/現代スペインの情熱はどこに?/本書のまとめ┴あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

アキ

87
情熱の国スペイン。Passionとはラテン語passioに由来する。こうむるという動詞patiから受難(キリスト)の意味も持つ。ユーラシア大陸とアフリカ大陸の蝶番の国。イスラムとキリストとユダヤの文化の融合12世紀ルネサンスの中心となったトレドからレコンキスタで名誉をなにより重視した行動基準、スペイン黄金時代に新大陸に向かうコンキスタドールたち、18世紀ブルボン朝での闘牛や祝祭。スペイン史の中心は一貫して民衆なのだ。国家として地域としてそれぞれの歴史が今を形作ることを実感させてくれるスペイン史入門の良書。2021/03/31

更紗蝦

33
キリスト教徒、ユダヤ教徒、イスラーム教徒の三者の交流によってスペインの文化が形作られていった経緯が詳しく解説されており、タイトルに使われている「情熱」という言葉は、自分の中では、異民族間の接触によって生じた摩擦熱、あるいは、文化が混ざり合うことで生じた混合熱として受け止めました。著者の専門は西洋中世・ルネサンス史だそうで、この本は『パスタでたどるイタリア史』『お菓子でたどるフランス史』『森と山と川でたどるドイツ史』『王様でたどるイギリス史』に続く5冊目とのことです。2023/07/14

Nat

23
ハプスブルク家の本を読んだり、風の影を読んだりして、スペインの歴史が知りたくなり手に取りました。ジュニア向けの通史なので、わかりやすく、大まかな歴史を知ることができました。ヨーロッパの国々は複雑に絡み合っていますね。いつかスペインにも行ってみたいです。2019/05/11

sasara

20
池上俊一欧州主要5カ国たどる史第5弾。ピレネー山脈の南、地中海性気候、茶褐色の不毛の大地イベリア半島。ローマ、イスラムに支配された後、敬虔なカトリック教国は無敵艦隊で 大航海時代を制すもあまりにも熱心な布教、侵略活動と病原体の持ち込みにより中南米異教徒1500万人を殺害してしまう。 ドン・キホーテと闘牛、カルメンをこよなく愛しピカソ、ダリ、芸術家を輩出し燃える赤が大好きな情熱の国エスパニョーラ。2021/06/25

coolflat

15
8頁。イベリア半島に北方住民がやってきたのは遅く、紀元前1000年を超えた頃だった。すなわち紀元前900年から紀元前650年に、中央ヨーロッパからピレネー山脈を通ってインド・ヨーロッパ系のケルト人が入ってきた。彼らは祖地であるドナウ川縁辺の鉄器文化を、それまで青銅器しかなかった半島北部や内陸部に広めていった。さらにその後、前8世紀頃、アフリカからやってきたフェニキア人が交易を目的としてアンダルシア地方に定着し、植民市を建て、やや遅れてギリシア人も南部に到来した。彼らは金属類、とりわけ錫を探しにやってきた。2022/11/13

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