内容説明
なぜいつまで経っても地方に「景気回復の温かい風」は届かないのか.長野県須坂市,同県王滝村,群馬県南牧村などの事例を通して,製造業,リゾート,建設業等,基盤産業の衰退後に地域が辿ってきた「衰退のプロセス」を詳細に検証.国の「規模の経済」に基づいた政策誘導が逆に危機を深刻化させている実態を明らかにする.
目次
はじめに┴「景気回復の温かい風」は届かない/新型コロナウイルスと地域/本書の構成┴第1章 地域はどのくらい衰退したか┴第1節 進む少子高齢化┴人口減少と高齢化/労働力人口の減少┴第2節 衰退を示す社会経済指標┴商店数の減少/失業率の上昇/地方都市の衰退/課税対象所得の減少/病院数・医師数の減少/高等学校数の減少/増えたのは空き家/止まらない地域衰退┴コラム1◆空き家問題と地方財政┴第2章 衰退のメカニズム┴第1節 製造業の衰退と「企業城下町」の終焉┴製造業従業者数の減少/富士通の城下町だった須坂/一九七〇年代から九〇年代にかけての動き/「富士通城下町・須坂」の終焉/「城主」企業の縮小・撤退の影響┴第2節 リゾート開発と自治体財政の危機┴村営おんたけスキー場の衰退/町村合併からの「排除」/自治体財政健全化法と「財政危機」┴第3節 単独事業への政策誘導と建設業の衰退┴補助事業から単独事業へ/自治体の財政悪化と土木費の減少/建設業の立地状況と土木費削減の影響┴コラム2◆オーストラリアの地域衰退┴第3章 衰退の「臨界点」┴第1節 基盤産業を失った地域┴山村のケース 群馬県南牧村の場合/旧産炭地のケース┴第2節 サービス経済化と地域衰退┴事業所サービス業の拡大/サービス業と大都市集中┴第3節 社会保障給付が支える地域┴医療・介護サービスの拡大/都道府県内でのサービス業の分布/社会保障が地域の産業構造を形づくる┴第4節 「臨界点」はどこにあるのか┴なぜ衰退が止まらないのか/財政にも及ぶ衰退┴コラム3◆「発展なき成長」┴第4章 「規模の経済」的政策対応の問題点┴第1節 農業の大規模化は農村の持続を困難にする┴農業経営と「規模の経済」/農地の集積は進みつつある/大規模化でコストは削減されるのか/農業の大規模化が及ぼす悪影響/国連「家族農業の一〇年」┴第2節 林業の規模拡大でも森林の荒廃は止まらない┴森林経営管理制度の導入/市町村は森林を適正に管理できるか/森林環境税の導入とその配分/「意欲と能力のある林業経営者」と五〇年皆伐/「自伐型林業」という可能性┴第3節 市町村合併は歳出の効率化をもたらさない┴平成の大合併/経費の削減は実現したのか┴第4節 大規模化は人口減少に対応できるのか┴大きいことはいいことか?/小規模自治体が大半を占める可能性/「小規模」を前提に政策を組み立てる┴コラム4◆「密度の経済」┴第5章 地域衰退をどう食い止めるか┴第1節 人々が生きていくために必要な社会サービスを確保する┴後期高齢者の減少と社会保障給付の減少/医療サービスを維持する┴第2節 国による政策誘導をやめる┴「地方創生」の問題点/政策誘導がもたらしたもの リゾート開発の例┴第3節 地域に産業を興す┴容易ではない基盤産業の復活/「まちづくりの成功事例」は参考になるか?/地域における小水力発電の可能性/地方から都市に電気を売る/事業所サービスの「地産地消」┴第4節 分権・分散型国家をつくる┴「疎開」ではなく,「定着」をつくる┴参考文献一覧┴おわりに
感想・レビュー
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skunk_c
けんとまん1007
壱萬弐仟縁
おせきはん
たばかる