内容説明
大雪であらゆる都市機能が麻痺するなか、1億円の賄賂疑惑の渦中にある大物政治家の孫娘が誘拐された。被害者宅に張り巡らされた盗聴器に一歩も身動きのとれない警察。追いつめられていく母親。そして、なぜか前日から流される動物たちの血……。二転、三転の誘拐劇の果てにあるものとは!? 連城マジック炸裂の驚愕ミステリー。「このミステリーがずごい!2003年版」ベスト10ランクイン。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
カノコ
35
再読。収賄疑惑に揺れる大物政治家の孫娘が誘拐された。被害者宅に設置された無数の盗聴器に、警察と母親は追い詰められていく。作中で降り続ける雪のように、読み進めるうちに重なっていく違和感。「真相はこんなところだろうな」と安易に予想したら最後、思ってもいなかった結末に放り出されて唖然としてしまう。決してスマートではない、美しいわけでもない、それでも驚愕させられるその力業。よくもやってくれたな、と思わず笑ってしまう。読みやすいとはとても言えないし、終盤に至るまで冗長とも言えるが、こんな誘拐物はほかに知らない。2021/06/26
かさお
30
凍てつく寒さが読者を溶けない檻に閉じ込める。大雪の日に起こった幼女誘拐事件、何故か周囲では死んだ動物の血が流されている。誰もが疑わしく、着地点が分からない。かなり骨太な作品、70年代とか80年代の雰囲気。やるせなくて、何かに噛みつきたくて、抗いたくては血が滲む。胸の中にずっと飼っている獣を今から解き放つ。さあ、一世一代のショータイムだ。犯人のそんな声が聞こえた気がした。この動機は今の若い人達に受け入れらるだろうか。二転三転する人間模様に翻弄された。お見事です。さすが連城先生。美しく儚い。完敗です。2022/03/23
ニカ
25
誘拐の真の目的を知った時は衝撃だった。考えさせられる話しだった。2021/12/26
春が来た
24
伊坂幸太郎の復刻熱望第2弾。読書時間があまり取れなかっのと、段落事に視点が切り替わるという若干の読みにくさで、だいぶ時間がかかってしまった。そのくせ、犯人バレバレなんて高を括って読んでたら、案の定「え?」となる。ミステリでの「え?」という驚きの出会いは最高の瞬間である。騙される快楽。騙されるために読む。恐ろしいー。2021/05/29
harukawani
14
9年前の初読時は合わない、くどい、冗長、と散々な感想を書いているが、連城作品を読み続けてきた今は、あぁこれこそが連城三紀彦だな、と。”どんでん返しに驚愕!”というようなミステリではない。連城流のあり得ない構図の反転を成立させるため、いびつに仕上がった、異形の誘拐ミステリだろう。犯人と警察の攻防を描くパートは視点をめまぐるしく変化させてスピーディー。そこからの転調。人間社会を檻の外から見つめるかのような、冷徹な目を持つ人物たちの思考や回想が、街に容赦なく積もる大雪と相まって暗く寒々しい雰囲気を醸し出す。2021/06/19
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