言語と呪術

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言語と呪術

  • ISBN:9784766424577

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内容説明

言語は、論理であるとともに呪術である――。

言語は、世界を秩序づける力とともに世界を根底から覆してしまう力を持っている。

若き井筒俊彦が、考古学、人類学、言語学、宗教学、心理学、詩学の成果を消化吸収し、大胆に提示した「意味」の始原。
いまだ知られていない井筒哲学の起源にして、その後の展開のすべてを萌芽状態のままに孕んだ〈言語学原論〉、待望の刊行。

伝説の講義「言語学概論」が甦る!

安藤礼二による解説「井筒俊彦の隠された起源」。

目次

まえがき

第一章 呪術マジックと論理ロジックのあいだ――予備的考察

第二章 神話的な観点からみた言語

第三章 聖なる気息

第四章 近代文明のさなかの言語呪術

第五章 「意味」という根源的な呪術

第六章 内包の実体化

第七章 言葉のもつ喚起力

第八章 構造的な喚起

第九章 自発的な儀礼と言語の起源

第十章 呪術の環サークルのなかの言語

第十一章 高められた言語

 解説「井筒俊彦の隠された起源」  安藤礼二
 訳者あとがき  小野純一
 主要参考文献
 人名・著者名索引
 事項索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

内島菫

35
言語の呪術性を問うとき、必然的に遡らねばならない言語の起源にまで分け入った、意味という密林の探検書。著者のぶれない態度と該博な知識に基づく考察は、これまでぼんやりと捉えどころなくあった自分の想念に、まさに指差しの行為のような一つの分節線を引いてくれる。言語の問題に取り組むとき、神と人をつなぐ預言者に注目していた著者の視点は、「意味の意味」の第一発見者としての預言者の視点といつしか重なってゆく。2018/10/18

yutaro sata

29
この本の監訳を務める安藤礼二さんが、井筒さんの全体を把握するのにはこの『言語と呪術』を読むのがいいと言っていたので、読んで行きました。いやあ、安藤さんの解説を読んで、完全に重なり合うかどうかは不明でも、私の好きな道、行きたい道もどうやらここにあるらしいぞ、というのがはっきりしてきたというか。読むべき本もまた多数出てきて、いかんいかんちょっとここは私の関心にピンポイント過ぎて読んでいると無限に昂奮してくるところだ眠れない眠れない、などといったまとまりのないことを考えていました。2023/01/29

gorgeanalogue

17
言語の発生の契機として呪術があり、その基底には「経験を象徴に翻訳する」人間の根本的な欲求がある。論点は多岐にわたり、法と呪術、文法と呪術の強い関連、そしてフロイトの「無意識」と呪術の指摘には驚かされた(心的動機の備給に関わるといえば納得できる)。言語は何より「喚起」するのであれば、言語行為論(言語媒介行為)と接続するのだろうか。そして著者は発話されたときに気息を通じて呪力が発現される、と書いているが、文字は呪術的な「枠組みづけ」になるのか? 次は「言語アラヤ識」について書かれている『意味の深みへ』へ。2022/11/17

roughfractus02

10
著者は神-預言者間の「啓示」モデルから言語を検討し、非実在を実在させる言語の力を呪術と呼ぶ。世界が名指されれば心にも実在し始める。この心的対象は感覚的な類似性によって他への連想を生み、追体験的に現実を作る。一方この体験は情緒を含むゆえに緊張やリズムを帯びた表現の様々なパターンを生み出す。こうして現実の実体・性質・活動が名詞・形容詞・動詞の文法単位で擬似現実化される。では、以上を触発するその本源は人間言語と同じ構造なのか?生成文法が登場する時代、著者は人間言語とは異質で超越的な「内包の網」をその本源に見る。2021/02/03

MO

8
井筒俊彦の知の深淵に触れたくて読んでみたが、難しすぎて二行しか分からなかった。解説を読んで、詩に置ける言葉の魔力を説明していると思うと足がかりができる気がした。それは著者が西脇順三郎に傾倒していたこともあるのでその線はいけると思う。後ブックカバーデザインがすごくいいです。中垣信夫という大御所みたい。この本は一ヶ月間、常に持ち歩いてマウスパッドがわりにも使いましたが、非常に映えます。「言語はロジックであるとともにマジックである」2022/01/10

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