内容説明
「ランダム行列の応用可能性の真髄は,ランダム行列に関わる数理的手法の汎用性にある」
超弦理論,解析数論,結び目理論,複雑系ネットワーク,機械学習,…など,ランダム行列は高い応用可能性をもつ.このように多くの分野において注目されるランダム行列に対して,本書ではその基礎付けを与える豊かな数理構造に重点を置いて説明する.
第I部の「基礎編」にてランダム行列のもつさまざまな性質について説明し,そうした性質が関連する話題を第II部の「発展編」で取り扱う.そうした話題に触れながら,「整数の分割」「非線形微分方程式」「場の理論の方法」などの種々の数理的手法に親しんでもらうことも本書の目的の一つである.
目次
第I部 ランダム行列:基礎編
第1章 ランダム行列基礎論
第2章 Coulomb気体の方法
第3章 固有値相関と固有値統計
第4章 円型ランダム行列
第II部 ランダム行列:発展編
第5章 ランダム行列と可積分系
第6章 ループ方程式
第7章 超ランダム行列
第8章 Chern-Simons行列模型
第9章 ランダム分割
第10章 角度積分
第III部 付録
付録A 特殊関数
付録B 対称多項式
付録C 文献案内