内容説明
労働よりも消費を中心とした資本主義が生まれた二〇世紀初頭の文化、それは宗教的倫理が、文化的なものとしてひとびとに了解されるようになるプロセスである。グローバリゼーションは「現代」の現象ではない。「世界」というシステムのダイナミズムをとらえる社会変動論の復権が必要だ。「国民国家を自明視してきた社会学」の再考。
目次
序 章 グローバリゼーションという社会変動――本書の目的と構成
1 グローバリゼーションと社会学
2 近代化(モダニゼーション)とグローバリゼーション
3 本書の目的
4 本書の構成
第一章 〈聖なる子ども〉の誕生と消費資本主義――「青い目の人形」とキューピーをめぐって
1 はじめに
2 「グローバリゼーション」をどうとらえるか
3 消費資本主義とキューピーの誕生
4 〈神話〉の世俗化
5 〈子ども〉だけの世界
6 浪漫主義と〈子ども〉の誕生
7 〈子ども〉産業のグローバリゼーション
8 日本における国民国家形成と〈聖なる子ども〉
9 天使の文化的転移と習合
10 おわりに――グローバリゼーションの交差入れ子構造
第二章 グローバリゼーションの聖誕祭――青いサンタクロースと赤いサンタクロース
1 はじめに――クリスマス・ファンタジーのグローバル化
2 〈クリスマス〉の謎――日本への移植
3 聖ニコラウスの伝説――ヨーロッパにおけるフォークロアと宗教対立
4 アメリカに渡ったサンタクロース――聖ニコラウスからサンタクロースへ
5 〈子ども〉とサンタクロース
6 日本におけるモダン・クリスマスの再生産――明治大正期の日本の〈子ども〉とサンタクロース
7 大恐慌と消費社会の〈サンタクロース〉
8 おわりに――グローバリゼーションの重層性とサンタクロースの再変容
第三章 境界の街、境界の時代、境界のアイデンティティ――「赤い靴」と「青い目の人形」のはざまに
1 はじめに――「赤い靴」の記憶
2 「赤い靴」の時代――第二次世界大戦をはさんで
3 大正という時代と子どもたち
4 現実としての「赤い靴」
5 「赤い靴」の象徴体系――彼方より来るもの、彼方へと赴くもの
6 「赤い靴」の地政学――境界の街
7 おわりに――「境界化」する世界
終 章 二〇世紀初頭における文化と資本のグローバリゼーション
1 消費資本主義の形成過程
2 文化と経済と社会変動
あとがき
参考文献
索引
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- 電子書籍
- 100ゴールドショップ『ウサギ屋』2 …