内容説明
男女共同参画により、福祉社会で女性が抱える困難はより見えにくく、より複雑化した。それらの困難を、事例研究だけではなく、書評、映画評などから読み解く。2000年以降「男女平等」は重要な国の政策となったが、社会に埋め込まれたジェンダー不平等により、女性は依然として社会福祉政策の受け皿であることを期待されている。少子化対策、介護労働、母子世帯と貧困等を取り上げ、その現実と変化を丹念に追う。また、アメリカのシングルマザー政策の功罪を明らかにし今後の日本の方途を探る。
目次
はしがき
第I部 福祉政策を検証する
第1章 持続可能な福祉社会:ジェンダーの視点から
1.福祉社会のシステムを再検討する
2.社会福祉政策の進展とフェミニズム
3.ジェンダー平等な福祉社会の実現のために
<コラム1>映画評 『かもめ食堂』に集う普通の女たちの冒険物語
第2章 「少子化対策」に見るジェンダーの課題:
90年代の少子化対策を検証する
1.「少子化対策」とは何か
2.少子化をめぐる言説の変化
3.90年代以降の少子化政策の進展
4.少子化対策が向かう方向
5.少子化を克服するシナリオとは
<コラム2>書評 赤川学著 『子どもが減って何が悪いか!』
第3章 労働のジェンダー分化と社会福祉
1.増加する福祉労働
2.福祉労働のなかの「性差」
3.介護労働をめぐる政策
4.介護労働のなかの「性差」
5.福祉労働が抱える新たな課題:労働のジェンダー分化を超えて
<コラム3>映画評 『Shall we dance~』の日米比較
第4章 ホームヘルパーが抱えるジェンダー課題
1.調査の方法:対象としたホームヘルパーとは
2.調査結果の概要:ホームヘルパーの実態
3.調査の考察:ホームヘルパーの課題
<コラム4>映画評 町と自分の人生のために:女たちの挑戦を描く
『フラガール』
第5章 貧困とジェンダー:母子世帯施策の動向と新展開
1.「貧困の女性化」が明らかにしたこと
2.母子世帯と公的援助
3.母子世帯施策の新展開
4.日本における「貧困の女性化」とは:社会福祉における二重の抑制
<コラム5>書評 青木紀編著 『現代日本の「見えない」貧困:
生活保護受給母子世帯の現実』
第II部 福祉国家の展望
第6章 社会福祉におけるフェミニスト研究の経過と到達点:
欧米の研究経過と日本の課題
1.日米の現状
2.第1期におけるフェミニスト研究(60年代・70年代):
職業としてのソーシャルワークの「セクシズム」批判
3.第2期におけるフェミニスト研究(80年代):福祉国家批判の出現
4.第3期におけるフェミニスト研究(90年代以降):
比較福祉国家論・類型論への批判
5.フェミニスト研究が明らかにしたこと
6.日本の課題
<コラム6>映画評 『ミリオンダラー・ベイビー』に見るアメリカの光と影
第7章 シングルマザーの生活と公的援助の実態:
アメリカ調査の報告(1)
1.調査の方法:調査地域とバックグラウンド
2.調査結果の概要:シシグルマザーの実像
<コラム7> 書評 Barbara Ehrenreich 『Bait and Switch』
第8章 アメリカの福祉改革はいかに履行されたか:
アメリカ調査の報告(2)
1.調査協力者のシングルマザーの生活
2.FIPの施行と効果
3.アメリカ型福祉国家の特徴と日本への教訓
<コラム8> 映画評 『スタンドアップ』が描く「働く女性の権利」
第9章 アメリカのフェミニズムが解放したもの、取り残したもの:
ベティ・フリーダン著 『ビヨンド・ジェンダー:
ほか
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