ベトナム経済発展論 - 中進国の罠と新たなドイモイ

個数:1
紙書籍版価格
¥3,520
  • 電子書籍
  • ポイントキャンペーン

ベトナム経済発展論 - 中進国の罠と新たなドイモイ

  • 著者名:トラン・ヴァン・トウ
  • 価格 ¥3,520(本体¥3,200)
  • 勁草書房(2021/05発売)
  • GW前半スタート!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~4/29)
  • ポイント 960pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784326503391

ファイル: /

内容説明

ベトナム経済は、ドイモイ政策の採用、ASEAN加盟以降、急速に経済成長を速めている。本書は、ベトナム経済の市場経済移行における特徴とそのプロセスを考察し、持続的な発展のための新たなドイモイの内容は何か、今後の新しい課題は何か、どのような方向に発展していくか、向こう10年間までのベトナム経済を展望する。

目次

はしがき

第I部 経済発展と体制移行:歴史と理論

第1章 経済発展と体制移行の歴史的視点
 はじめに
 1.1 経済発展段階論
 1.2 経済発展諸段階と制度的変化の仮説
 1.3 体制移行と移行戦略
 1.4 世界経済の現在
 むすび
 コラム ワシントン・コンセンサスの昔と今

第2章 移行経済の理論:開発と移行戦略の分析的枠組み
 はじめに
 2.1 社会主義経済システムの特徴
 2.2 市場移行戦略
 2.3 体制移行の理論的枠組み
 2.4 グローバル化の時代と移行・開発戦略
 むすび
 補論 開発2部門モデルと移行2部門モデルの図解

第3章 歴史的観点から見たベトナムの体制移行
 はじめに
 3.1 ベトナム近代史と共産主義の導入:民族主義からの出発(1920~1953年)
 3.2 民族主義と共産主義の葛藤(1953~1975年)
 3.3 全国規模での社会主義経済建設と民族主義の後退(1976~1986年)
 3.4 ドイモイ初期:市場経済への移行開始(1986~1990年)
 3.5 社会主義志向型市場経済思考の登場(1991~2000年)
 3.6 グローバリゼーション下のドイモイ:外圧による改革(2000年以降)
 むすびに代えて:ベトナムの体制移行の現段階と今後の課題
 コラム ベトナム統一後の共産党全国大会の決定政策とトップ人事

第4章 ドイモイの形成と展開過程
 はじめに
 4.1 ドイモイ前の経済構造と経済危機
 4.2 ドイモイ前夜の囲い破り現象:下からの突き上げによる改革の芽生え
 4.3 ドイモイの舞台裏とドイモイ政策の決定
 4.4 ドイモイの決定過程に旧ソ連と中国の影響があったか
 4.5 ドイモイの展開過程と現段階
 むすび
 コラム ドイモイ推進派指導者ヴォー・ヴァン・キエットと知識人

第II部 ベトナムの市場経済への移行と開発戦略

第5章 資本市場の形成と内外資源の動員
 はじめに
 5.1 資本市場の形成過程
 5.2 ベトナムの貯蓄投資ギャップ
 5.3 投資行動と資金調達
 5.4 貯蓄行動と構造
 5.5 外資の役割
 むすび
 コラム 旧サイゴン政権官僚の活躍と銀行法令の誕生

第6章 所有形態の制度改革と企業発展
 はじめに
 6.1 企業から見たドイモイの概観
 6.2 国有企業の改革過程と現段階の課題
 6.3 民間企業の誕生と発展過程
 むすび
 補論 国有企業の株式化:成功例と失敗例

第7章 ベトナム移行経済と外国企業の技術移転
 はじめに
 7.1 分析枠組み
 7.2 データ・資料の解説
 7.3 外資系企業・現地企業と技術移転:予備的考察
 7.4 多国籍企業の活動と現地企業への技術移転:事例研究
 むすび:ベトナムの特徴と含意
 コラム 技術移転の諸形態

第8章 農業改革と農村開発
 はじめに
 8.1 農業改革と農村開発の分析枠組み
 8.2 ベトナムの体制移行と農業発展
 8.3 ベトナムの農村工業化
 むすび
 農業改革農村開発関係年表

第9章 労働市場と農工間労働移動
 はじめに
 9.1 経済発展と部門間労働移動:ルイス・モデルの骨子
 9.2 ベトナムの実態
 9.3 ルイス・モデルの修正とベトナムの課題
 むすび
 コラム ベトナムの人口と労働力統計

第III部 東アジア分業とベトナム

第10章 東アジア分業とベトナムの工業化
 はじめに
ほか

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヒロキです

19
ベトナムの発展の過程、未来について書かれていてベトナム経済の歴史、現在、これからについて知るには良い本だと思った。国の発展の為には、制度作りの必要があり段階的に制度設計を行う漸進主義と急ピッチに制度設計をする急進主義があるが、ベトナムや中国の成功を考えると漸進主義が有効であること。農業の充実化、そして農業工業化の必要性から工業への人口移行が出来ると説いている。また外国資本の扱い方についても書かれていて、外国資本側の日本からは考えない、資本を受ける側の視点が書かれていて非常に勉強になった。2019/06/22

メルセ・ひすい

1
14-27 赤29 `08 で一人当たりのGDPが1000$を突破した。世銀の分類による低所得発国から下位の中所得国に昇格した。一億の人口を抱えBRICsを追う。そう2025年にはGDPは4000$上位の中所得国になる可能性がある。経済効率性の向上、所得・資産分配の社会公正の実現、環境の保全の質の向上。腐敗・汚職が蔓延らないという条件が重い。 持続的発展のための新たなドイモイの内容とは。今後の新しい課題は何か、どんな方向に発展していくのか。ベトナム経済の市場経済移行における特徴とプロセスを考察2010/12/11

Great Eagle

0
初めてベトナムに出張するに当たり読んだ本ですが、ベトナムという途上国経済をここまで理論的に分析している本に出会い幸運でした。インフレに苦しむ現状と中間層の拡大、外貨準備の恒常的不足という不均衡が、この国の成長にどのような影響を与えるか今後も見ていきたいと思います。2012/08/04

koji

0
ベトナムミッションを企画しており、その知識を深めるために手に取りました。ベトナムの経済発展を本格的に研究、分散、提言している書です。①ドイモイをイノベーションと捉える視点、②自由貿易の罠・中所得国の罠に陥らない観点からの立ち遅れた国有企業改革の必要性、③有力な指導者(チュオン・チン、ヴォー・ヴァン・キエット)の存在、④漸進的経済改革には、何度も頷かさせられました。本書の著者をおいて、ここまで深くベトナム経済を日本語で語れる人はいないでしょう。何度も参照できる本で、価格は決して高くないと思います。2012/05/05

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/705133
  • ご注意事項