内容説明
本書は、1815年のウィーン会議から現在までのイギリスとヨーロッパとの国際関係を、高い研究水準を保ちながら概観する歴史読み物である。自分を「ヨーロッパ人」とは考えていないイギリスのアイデンティティーが「孤立」と「統合」のあいだを揺れ動くさまを、ダイナミックに描ききる。
目次
はしがき[細谷雄一]
序章 歴史のなかのイギリスとヨーロッパ[細谷雄一]
第1章 ヨーロッパ協調から世界大戦へ 一八一五─ 一九一四年──「不実の白い島」の呪縛──[君塚直隆]
1 「長い十八世紀」の終焉と大国イギリスの登場
2 ウィーン体制下のイギリス外交
3 パーマストンと会議外交の時代
4 ビスマルク体制と「光栄ある孤立」
5 「街から灯が消えていく」──世界大戦への道
第2章 「新しいヨーロッパ協調」からシューマン・プランへ 一九一九─五〇年──世界戦争の時代のイギリスとヨーロッパ──[細谷雄一]
1 戦後ヨーロッパ秩序とイギリス
2 ロカルノ会議からミュンヘン会談へ
3 第二次世界大戦と「西欧ブロック」構想
4 英仏協調の終焉?──シューマン・プランへいたる英仏関係
第3章 超国家的統合の登場 一九五〇─五八年──イギリスは船に乗り遅れたのか?──[益田実]
1 「失われた機会」を求めて
2 超国家的統合プラン登場前夜
3 反発から協力への苦渋の選択──アトリー政権と二つの統合プラン
4 統合の限界と協力関係の限界──チャーチル政権と二つの統合プラン
5 「ヨーロッパの再発進」──共同市場構想の船出
6 プランG──FTA構想による対抗とその挫折
7 あらかじめ失われていた機会?
第4章 第一次EEC加盟申請とその挫折 一九五八─六四年──「三つのサークル」ドクトリンの段階的再編──[小川浩之]
1 ヨーロッパFTAからEFTAへ
2 第一次EEC加盟申請への道
3 第一次EEC加盟交渉とその挫折
第5章 第二次EEC加盟申請とその挫折 一九六四─七〇年──イギリスの緩やかな方向転換──[芝崎祐典]
1 経済的困難と役割の模索
2 緩やかな方向転換──二回目のEEC加盟申請
3 挫折
第6章 米欧間での揺らぎ 一九七〇─七九年──ヨーロッパになりきれないイギリス──[橋口豊]
1 「新たなパワー・ベース」としての統合ヨーロッパ
2 大西洋同盟内の主導権をめぐる対立
3 EC残留とデタントの後退
第7章 冷戦とデタントのなかで──CSCEへの道とイギリスの役割意識 一九五一─七九年──[齋藤嘉臣]
1 サミットの夢とチャーチル、イーデン、マクミラン
2 ウィルソン政権のデタント政策
3 ヒース政権とCSCE
第8章 サッチャーとドロール 一九七九─九〇年──劇場化されるヨーロッパ──[遠藤乾]
1 「ヨーロッパの政党」──野党時代の親欧州的スタンス
2 「お金を返して」──フォンテーヌブローへの道
3 「自由なヨーロッパ」──市場統合、単一議定書、ドロール・パッケージ
4 「社会は存在しない」──サッチャーとドロールの世界観の衝突
5 「氷は解ける時が危ない」──冷戦終結とドイツ統一
6 「ノー、ノー、ノー」──通貨統合、政府間会議、孤立と凋落
第9章 メージャーとマーストリヒト条約 一九九〇─九七年──調整型リーダーシップの功罪──[力久昌幸]
1 メージャーのリーダーシップ
2 マーストリヒト条約交渉過程
3 ERM離脱とマーストリヒト条約批准過程
4 党内対立の激化と保守党支配の終焉
第10章 ブレアとヨーロッパ 一九九七─二〇〇七年──「お節介なネオコン性」──[鈴木一人]
ほか
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バルジ
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Fumihide Miyashita
もとせ
メルセ・ひすい