内容説明
三つの主要ニュース番組を素材とし、日本人の対外認識や対外態度との関係を視野に入れつつ、そこで放送された外国関連報道が構築する世界像をさまざまな視点から解釈する。また、アメリカ、アジア諸国、中東地域に焦点を合わせ、それらに関する報道の特質を詳細に吟味し、構築されるイメージについて実証データをもとに検討を加える。
目次
はじめに
序 章 ニュースの国際流通とテレビの外国関連報道[萩原滋]
1 ニュースの国際流通の仕組み
2 不均衡な国際流通に対する批判と日本の位置づけ
3 日本のテレビにおける外国関連報道
4 メディア情報と外国認識
5 研究課題と本書の構成
I 外国関連報道の特質
第1章 テレビの中の世界情勢──外国関連報道の特質を探る[萩原滋]
1 研究方法――分析の手続き
2 外国関連の主要な出来事と情報量の推移
3 外国関連報道で取り上げられた国・地域の特質
4 アメリカ、イラク、北朝鮮、中国、韓国に関する報道傾向
5 テレビにおける外国関連報道の特質に関する考察
第2章 ソフトニュースが伝える外国像[山本明]
1 ソフトニュースとは
2 ハードニュースとの比較分析
3 地域別の検討
4 ソフトニュースが伝える外国像に関する考察
第3章 外国人にみる声の多様性──サウンドバイト分析[金山智子]
1 ニュースソース研究
2 外国関連ニュースにおけるサウンドバイト
3 サウンドバイトの中の外国人
4 サウンドバイトからみたイメージ形成に関する考察
第4章 番組内で合意される対立相手国イメージの「効用」──アメリカ産牛肉輸入再開問題をめぐる報道を事例として[大坪寛子]
1 アメリカ産牛肉輸入再開をめぐる問題の経緯
2 ステレオタイプ研究からの知見
3 本報道における日米についての評価的発言
4 ステレオタイプ研究の枠組みからの考察
II アジアのイメージ
第5章 鳥インフルエンザ報道に見るアジア──2004年発生時におけるテレビニュースの内容分析[大坪寛子]
1 鳥インフルエンザ報道の概要と特徴
2 報道におけるアジア諸国の描写
3 利用されたアジア・イメージ
第6章 躍進する中国──テレビニュースが構築する中国イメージ[山本明]
1 日本における中国イメージ
2 中国経済報道
3 サッカーアジアカップ報道
4 テレビニュースが描く中国の姿
第7章 「北朝鮮」の構築──日本と韓国のテレビニュースにおける北朝鮮報道の相違[李光鎬]
1 日本と韓国における北朝鮮報道の変遷
2 分析の方法
3 北朝鮮報道の内容分析結果
4 ニュース映像における「北朝鮮」
5 北朝鮮報道の規範とその影響
第8章 韓国のテレビニュースにおける日本報道[李光鎬]
1 韓国における日本報道の傾向
2 分析の方法
3 日本報道の内容分析結果
4 日本に対する認識と日本報道
III 中東のイメージ──「危険な世界」の構築
第9章 イラク関連ニュースでテレビが伝えた“イラク人”──自衛隊派遣、日本人人質事件の報道分析[渋谷明子]
1 自衛隊派遣、人質事件で揺れた世論
2 イラク自衛隊派遣報道
3 イラク日本人人質事件報道
4 テレビニュースが構築したイラク人イメージ
第10章 グローバル・リスク社会を表象する国際テロ報道[福田充]
1 テロ事件とマスコミ報道の問題
2 国際テロ報道によって形成されるグローバル・リスク社会
3 国際テロ報道の全体的傾向
4 スペイン列車爆発テロ事件報道の構造
5 国際テロ事件報道から、国内テロ対策報道へ
6 グローバル・リスクとしてのテロリズムの本質
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