イギリスの性教育政策史 - 自由化の影と国家「介入」

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イギリスの性教育政策史 - 自由化の影と国家「介入」

  • 著者名:広瀬裕子
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  • 勁草書房(2021/05発売)
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  • ISBN:9784326250585

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内容説明

反動的とされたサッチャー政権下で制度化した性教育は、避妊や性感染症の予防方法を含む保守党と対立していた進歩的性教育を基本に据えたものであった。この保革のねじれの背後には、深刻化する十代の望まない妊娠と性感染症の拡大、そうした問題に本格的に対処しはじめた国家、その施策を支持する世論があったことを明らかにする。

目次

はしがき

序章 問題の所在と分析方法
 第1節 サッチャー政権下の保革ねじれ現象と問題の顕在化
 第2節 基本的対抗関係の構図
 第3節 分析の方法

第一部 性教育制度化前史:1950年代~1960年代

第1章 1950年代から1960年代にかけての性教育状況
 第1節 中央レベルの政策提言
 第2節 各地の性教育政策
 第3節 性教育に関する民間組織の活動
 第4節 組織づくり、人材育成、教育内容の整備

第2章 進歩的性教育の登場
 第1節 1960年代の自由主義的法改正及び学問動向
 第2節 新しい性教育の登場
 第3節 ラディカル左派
 第4節 進歩的性教育の言説と性教育の目的

第3章 避妊への意味付けの変化
 第1節 人口問題と避妊
 第2節 避妊の社会政策的側面への注目
       1973年国営医療制度再編法案審議

第二部 性教育制度化過程:1970年代~1990年代

第4章 進歩的性教育の基本路線
 第1節 「性教育:FPA宣言書」
 第2節 FPAの包括路線戦略と進歩的性教育の展開ルート

第5章 議会論争:制度化の経緯
 第1節 議会論争概要
 第2節 性教育論争の土俵枠の設定 1976年論争
 第3節 性教育制度化路線 1986年
 第4節 AIDSの衝撃 1989年、1992年論争
 第5節 性教育義務必修制度成立 1993年論争

第6章 性教育義務必修制度の構成
 第1節 1986年第2教育法 道徳的枠組みとして性教育を規定
 第2節 教育科学省回状11/87「学校における性教育」
 第3節 1988年教育改革法 ナショナル・カリキュラム
 第4節 1993年教育法 性教育義務必修化
 第5節 教育省回状5/94「1993年教育法:学校における性教育」
 第6節 教育雇用省「性と人間関係の教育に関する手引き」

第7章 性教育における論争的事項
 第1節 性交同意可能年齢未満の避妊指導の問題
 第2節 同性愛の扱いに関する問題

第8章 性教育に対する世論とメディアの性教育報道
 第1節 性教育世論調査
 第2節 性教育の有用性に関する広範な認識形成
 第3節 性教育批判に関する報道
 第4節 報道から読み取れる親の位置

第9章 道徳的右派による性教育批判の論理
 第1節 メアリ・ホワイトハウスの批判
 第2節 道義心協会のパンフレット「いやと言いにくい時もある」
 第3節 ヴァレリー・リッチーズの批判の論理:
       後追い的嫌悪感の表明と破壊のためのプロパガンダ

第10章 性教育に対する宗教界の見解
 第1節 社会の世俗化傾向と性教育
 第2節 「学校のカリキュラムにおける
        性教育:宗教的立場:合意声明」
 第3節 共同見解「差異の認識」1992年研究集会の成果

第11章 新制度実施動向と授業の実際
 第1節 1993年教育法制度の受け入れ態勢
 第2節 新制度の定着度合いに関する
       教育水準監査院調査『性と人間関係』
 第3節 性教育授業の実際 ケンブリッジの場合
 第4節 サイエンスにおける価値教育

終章 成熟した近代社会の問題と国家によるメンテナンス
 第1節 自由の実現による私的領域の不安定化
 第2節 国家によるメンテナンスの模索

参考文献

ほか

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Akihiro Nishio

2
マニアックな本であった。1950年頃からのイングランドにおける性教育の公教育化の歴史と、政治的な相克が詳細に解説されている。こんな本が現地の言葉以外で書かれているのは日本だけだろう。このアプローチは、やっぱりというか東大文系出身の人であった。恐るべき東大文系である。しかし、性教育がどうして政治的な争点になりどう妥協されるのかということはわかったが、結局はエイズの大流行によりすっ飛ばされた感があり、エイズが流行らなかったらどうなったのだろうとは思った。2013/08/01

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