内容説明
人間と環境との間に調和を取り戻そうという課題の下、1970年代から成長を遂げてきた環境倫理学。前人未到の領域に道をつけ、その形成に与った思想家たちの考え方をバランス良く紹介する本書は、現代社会において、地域、企業、政策等々、各々の立場から環境問題を考え実践する際の道標となろう。環境倫理学を新たなステージへと導く書。
目次
はじめに
第1章 環境問題の現状と倫理的問題点
第1節 環境問題の現状
第2節 近代人の社会倫理観
第2章 環境倫理思考にみる3つの典型と環境倫理学への芽生え
第1節 環境倫理思考にみる3つの典型
第2節 環境倫理学へいたる道のり
第3章 環境倫理学の見取り図
第1節 環境倫理学の野心
第2節 環境倫理学の哲学的争点
第3節 環境倫理学の目標と分類
第4章 人間非中心主義
第1節 ネスのディープ・エコロジー
第2節 生物中心主義(生命中心主義)
第3節 動物倫理学
第4節 エコ中心主義(ecocentrism)
第5節 自然中心主義(マイヤー=アービッヒの法共同体・自然)
第5章 人間中心主義
第1節 「自然の権利」という言葉の検討
第2節 パスモアの強い人間中心主義
第3節 ノートンの弱い人間中心主義
第4節 キリスト教の人間中心主義
第6章 環境的正義
第1節 世代間倫理
第2節 ブクチンの社会派エコロジー
第3節 エコフェミニズム
第4節 南北格差と環境問題
おわりに
参考文献と注
人名索引
事項索引
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
5
生物多様性の危機(7頁~)。G.ハーディンの救命艇倫理。人口爆発問題を説明しようとした。定員60名だが100名が残り50の枠を望んでいる。3つの選択肢(24頁)はいずれも酷。M.サンデルの白熱教室を思い出した。48頁~のE.F.シューマッハーの健康と美と永続性の思想は重要。身の丈の中間技術(51頁)。仏教経済学。W.リースとM.ワケナゲルのエコロジカル・フットプリント(53頁)。TPPでは自由貿易なのでこれは増大してunsustainableだな。3.11復興のNHK総合を見ると、原発加害者の倫理を問う。2013/03/09
しまゆう
0
本書は人間中心主義と人間非中心主義という二項対立の構造から出発し、そこから派生していった主義主張を分析、考察していく。こうした理論(?)は実践知として機能しなければ、いわば「現場主義」的な部分も持ち合わせなければ現状は緩やかに衰退していくだけだろうと無知ながらに思った。偉そうに言ったけど、分からん!!とにかくこれだけのことをこれからの未来、僕等が考えていくだけの価値はあるし、それは権利を持つものとしての「義務」かもしれない。2012/02/05
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