内容説明
なぜ、日本では養育費の不払いが常態化しているのか、今後の解決に向けて何が必要なのか。民法の「離婚後の子の監護」規定の変遷を検証し、問題の根源にさかのぼるとともに、公権力を強力に行使するアメリカ、親子の契約化を標榜するイギリスの分析を通して、個人化時代をとらえた、家族問題への公的介入の必要性と危険性を見通す。
目次
まえがき
序 章 養育費という政策課題:なぜ家族介入的政策が必要か
1 家族介入的政策に対する2つの批判
2 家族による解決:履行確保制度と強制執行制度
3 福祉国家による解決:児童扶養手当制度
4 行政による養育費の確保という課題
第I部 母子世帯政策:方向とその特徴
第1章 日本の問題状況
1 離婚母子世帯の増大
2 児童扶養手当の抑制と養育費
3 民法改正論議における養育費
4 私的扶養と公的扶養の間隙
第2章 アメリカ・イギリスの政策との比較
1 日本の母子世帯政策の方向性
2 2002年改革の検証
3 アメリカ・イギリスの母子世帯政策
4 家族政策とはいえない日本の母子世帯政策
第II部 養育費問題:実情とその背景
第3章 戦後日本の実態
1 離婚の際の養育費をめぐる規定
2 統計にみる養育費の実態
3 事例にみる養育費の実態
4 養育費に対する認識の問題
第4章 「離婚後の子の監護」規定の歴史的変遷
1 明治初期の慣習
2 旧民法の前史
3 旧民法の成立
4 明治民法の成立
5 人事法案の編纂
6 改正民法の成立
7 国家非関与型の家族政策
第III部 養育費政策:展開とその功罪
第5章 家族に介入する公権力:アメリカ
1 もうひとつの家族政策
2 養育費履行強制制度の全体像
3 プログラムの具体的な内容
4 制度の実績と効果
5 公権力を活用した政策の危険性
第6章 親子の契約化:イギリス
1 父親に寛容な政策の伝統
2 養育費制度の導入と混乱
3 制度の維持と理念の変容
4 生涯契約に基づく政策の限界
終 章 強い国家と弱い個人
1 家族介入的政策の必要性
2 国家と個人の非対称
3 家族政策の意図せざる作用
4 個人化時代の福祉国家と家族
参考文献
あとがき
索引
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ゆう。
のそのそ