内容説明
高度成長期を迎えて廃れゆく炭鉱町。ヤクザ抗争は激化の一途。だが極貧育ちの若者がすべてを覆す。恐れを知らぬ底抜けの男たち。苛烈きわまる人生讃歌。
昭和四十四年、高度経済成長の只中。華やかな世相を横目に筑豊の主要産業である炭鉱は衰退の一途。しかし荒くれ者たちの意気は盛んだった。全域に威を振るうのは海衆商会。その賭場で現金強奪事件が起きる。主犯はチンピラの菱谷松次だ。面目を潰された若頭・中場杜夫は怒りに震える。二人の激しい衝突はやがて筑豊ヤクザ抗争の根底を揺さぶることに―。感動の第十六回大藪春彦賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Masakazu Fujino
6
筑豊、川筋もん、北九州生まれで父方の故郷が鞍手郡の自分にとっては、本当に昔の空気を感じる小説だった。 昔、近所にこんな感じのおいさんやあんちゃんが、ようけおったなあと思い出しよりました。今、親が折尾にいるので時折帰るが、街も昔とはずいぶん変わってしまっている。懐かしい思いがする読書体験だった。2019/10/09
つぶごま
3
様々ない生い立ちを乗り越えて力強く生きる登場人物たちの迫力に吸い込まれるように夢中で読みました。また、戦後の日本の発展を支えてくれた地域、産業、人々の描写が印象的でした。2024/06/19
さん
2
仲間の紹介とかが少し長い感じもしたが、中盤の盛り上がり方は良かったです。ただのチンピラと思っていたのが、親父譲りの漢であって、ヤクザの頭との勝負は熱かった。同じ筑豊が舞台の青春の門を思い出した。飛車松と伊吹が重なった。2015/05/02
綺楽院 /kiraku-in
2
青春モノですねぇ。プロット、人物ともに一昔前のアノ時代ならではの空気感をともなった活劇といったところでしょうか。破滅に向かう若者ストーリは大好きなジャンル。村川さんあたりで80年ころに映画にしてほしい感じ。面白かったです。2015/02/22
読書侍
1
今はなき日本冒険小説大賞の常連作家でもあり、本作は大藪春彦賞の受賞作。 向こう見ずなチンピラ飛車松の生きざまを描いた、昭和の匂いのする名作だ。 2017/12/03