FOOTPRINTS(フットプリント) 未来から見た私たちの痕跡

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FOOTPRINTS(フットプリント) 未来から見た私たちの痕跡

  • ISBN:9784492800911

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内容説明

5000万キロにわたって延びる道路、放射能で2万年後まで住めない土地、10万年後も残り続ける二酸化炭素、
化石化するプラスチックごみ、沈みゆく巨大都市、宇宙空間をさまよう人工物……
人新世が地球に刻む負の遺産とは?

私たちの文明は、未来に何を残すのだろうか? 私たちはこの地球を永遠に変えてしまったのだろうか?

スコットランドのエディンバラから、海に沈みゆく上海、汚染されたバルト海、サンゴの白化現象が進むグレートバリアリーフ、フィンランドの核廃棄物処分場などを訪れながら、我々現代人が残す「未来の化石」を紹介する。

また、生物多様性や、地球の歴史を刻む南極の氷床コアのような、私たちによって失われてしまうもの、さらには、抗生物質によって進化する細菌といった、人間によって変化してしまったものなどをも取り上げる。

現代の人類は、すぐ直後の数世代に対してのみならず、数百・数千世代のちの子孫たちに対する責任を負っていることを突きつけ、遠い未来の子孫たちに、私たちがどのように記憶されることになるのかを明示する、人新世をかつてない巨視的なスケールで描く画期的な書。

目次

序 章 呪われた未来の痕跡
第1章 飽くことなく延びる道路
第2章 薄い都市
第3章 ペットボトルの行方
第4章 氷床コアの記録
第5章 失われつつあるサンゴ礁
第6章 残りつづける核廃棄物
第7章 脅かされる生物多様性
第8章 微生物の攪乱
終章 未来の化石が示すもの
謝辞
参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬弐仟縁

53
2020年初出。文学から環境問題を捉える感じが新しい。が、実態も書かれているので、説得力がある。ラスキンの『ベネチアの石』19850年代初め。ベネチア人は最貧者ですら、貝類のように自分の家を建てると指摘したらしい(75頁)。いくら貧民窟といえども。。内側は粗削り、だが、表面は真珠層(76頁)。フーコーによれば、完全な図書館、知識が定着した場所は近代性が生みだしたもの(149頁)。他、ウラン原子の崩壊(200頁~)は恐ろしい。粒子をまき散らす。2022/03/20

がらくたどん

38
本書ので語られる世界が石油化合物・プラスチック・核燃料廃棄物を既に大量に抱え込んでおり永遠には今のサイズの地表面積は保てない科学的知見は、大概の人が薄々気づいている。自分が本書に感じた凄みは知見の内容というより、自分たちが相当の環境負荷を積み重ねる過程とその痕跡が長い時間の後に「ああ、あの頃の」と軽蔑や憐憫をもって見つめられることの後ろめたさを、科学に物語を付与する危険は『沈黙の春』の揺れ惑う評価を挙げるまでもなく分かっているだろうに敢えて「物語」の文脈に重ねて訴えかける事への覚悟を感じる点にある。良書。2022/01/27

Sakie

20
例えば1000年後。地面を掘ったら、中世の石畳のようにアスファルトが、貝塚のように埋立ゴミが、地中や海底にビルが立ち現れる。それらが、私たちが未来に残す足跡だ。著者はイギリスの文学の教授なので、見聞きしたものから連想された古典から現代詩まで、古今東西の著作の引用が多いあたりが他のノンフィクションと違う。回りくどくも感じる一方、情報だけでない、練られた言葉による比喩や情緒まで書き込まれることで、私の気持ちにもさざ波をおこし、生身の人間の感覚、未来への想像力を働かせることを許される。2022/01/15

テト

9
後世の生物が地球の歴史を振り帰る時、今の時代をどのように見るのだろうか。今我々が住んでいるこの世界は地質学的にも特異に見られるような現象がたくさん起きていて、それは地球を状態を大きく変える変化を我々の知らない世界でもたらしている。今の生活を刻ませる痕跡を地球への大きな傷として残して、我々はどこに向かっているのだろう。2021/12/11

jackbdc

6
痕跡という視点が新鮮。未来の視点を持つことで今を見つめ直すきっかけを与えてくれる。地質学スケールの時間軸で今を振り返ると、未来世代への責任感が顕在化するのが不思議。炭素、道路やビルなどの構造物、プラスチックから核ゴミまでの廃棄物など、人類活動の痕跡はいつか年輪として地球に刻まれる。人智を超える風化作用は人間活動の痕跡を飲み込んでいくだろうが、人新世の特徴が完全には消え失せる事がないと気付く。悠久の時の流れに思いを馳せるのは趣深いが、その時間軸では大絶滅も視野に入ってくるから浪漫的な啓蒙一辺倒では苦しそう。2021/07/25

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