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内容説明
事実ではないことを「そんなことはなかった」と説明するのは、実際にあったことを立証するよりも困難だ。しかし人は往々にして、そんな「悪魔の証明」を他人に強要する。思い込みが先行した追及は、ともすると自らの挙証責任をないがしろにするので、相手に説明の「無限ループ」を迫ることになる。敵を混乱させたり、イメージ悪化を図るには有効だが、もはや建設的な議論や問題点の抽出は望めない。本書では、犯罪学や統計学、そして宗教学も参照しながら、悪魔の証明の正体に迫ろう。
目次
プロローグ 悪魔の証明
やってません
悪魔の証明
挙証責任と説明責任
ポジティブ・プルーフ
ポジティブとネガティブのリバース
「なかったことにしよう」とする人々
ギャンブル依存症の例
本書で使用する例
Ⅰ 犯罪を証明する手続き──「あったことを証明する」ことすら簡単ではない
犯罪の成立──犯罪成立三要件
構成要件該当性
違法性
有責性
裁判のルール
適正手続および罪刑法定主義
憲法と刑法の哲学
あったことの証明
オマエが言うな
あったことをあったとする非難
Ⅱ 挙証責任──立証の責任は誰にあるか
非難する側が証拠を出すべし
隗より始めよ
九五%の蓋然性
伝統的にあったことを否定する
なかったことの三要素
不可能性
非合理性
間接補強証拠・要因
挙証責任のトランスファー
反反論
不十分な反反論(再非難)
Ⅲ 不可能性──社会的不可能と神学論争
ノアの方舟
科学の絶対性
宗教家たちの選択
アクセスの制限
柔軟な宗教
神学論争
科学との融合を目指す宗派
Ⅳ 非合理性──科学的判断と不思議な論理
不自然さ
ストーリィの提示
マリアの処女懐胎
つじつま合わせ
根本の理由は誤訳
翻訳こと始め
不思議な不存在──あるべきものがない!
イエスの生誕地
自然科学における「不思議な不存在」
現代の社会事象──徴用工の例
統計解釈
妥当性
信頼性
社会調査のウソ
別の因果の可能性
Ⅴ 間接補強証拠・要因──証拠とデータの判断、討論の決着
情報・証拠へのアクセス拒否
物的証拠
データと記録
査察
証人
悪魔の証明ではない例
公開討論忌避
生討論会
紙上ディベート
主張内容の変化
レーダー照射
ブーメラン
Ⅵ 「なかったこと」の証明──武器になる反論とは
十分な蓋然性に至る道筋
不思議なレトリック
すりかえ
刑法上は不作為も行為
言論上の不作為
政治力──パワー・ポリティックス
死海文書とパワー・ポリティックス
国際グループの合意
「結論ありき」の方法論
背後の組織
物的証拠
イエスとパウロ
おわりに
ダブルスタンダード
裏の教会の話
参考文献
感想・レビュー
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ばんだねいっぺい
ゲオルギオ・ハーン
おおにし
大先生
まゆまゆ