内容説明
密教学界の最高権威が、インド密教から曼荼羅への変遷と展開、真言密教の原理、弘法大師の知恵、密教神話から、密教の発展、思想と実践について平易な言葉で説き明かす。科学、政治、経済などあらゆる面で混迷する不安な時代を生き抜くためのヒントを密教から見出そう。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
もくもく
3
なるほど、「三密の行」とは、身・口・意の三つ、身(体)で印契を結び、口には真言を唱え、心は三摩地に住する(心を一点に集中する)ことによって、即身成仏を成し遂げる行だったんですね。(^o^) なんとな~くの、興味で読了した一冊。もちろん、不立文字の「密教」が、数冊の書物を読んだだけで理解できるとは思っていませんが、高野山大学教授・金剛峯寺座主でもある著者が、各所で語った密教(インド密教、チベット密教、中国密教、そして弘法大師の真言密教)についての講演は、とってもわかり易かったです。2020/06/04
みこ
2
密教の解説を通しながら果ては東洋思想の源流についても言及する一冊。非常に読みやすい文章でありながら、密教を学ぶにあたって疑問に思いがちな点をクリティカルに解説してくれる名著であった。特にチベット仏教とのその生まれの違いや、禅宗との考え方の違いについての解説は目からウロコであった。 何度も言及された「手の指の太さ」の例えは秀逸であり、ともすれば右にならえが良しとされる現代人において、個性を残しながらすべてを包括する考え方・意識の重要性は、これからの時代にきっと大事になるものであると思われる。2022/01/02
日常
1
高野山大学名誉教授であり、金剛峯寺第412世座主である著者。密教をテーマにした講演が編集されており、全くの初心者の私でも、わかりやすい語り口調で読みやすい。仏教用語や仏像、曼荼羅を調べながら読んでいる内に、密教の魅力に惹きつけられた。東洋思想についても語られており、「多様性」が重んじられる今こそ、自分が生まれ育った日本という国、アジアについてもう一度見つめ直したいと思った。著者は、2023年の4月に他界されたとのこと。ご冥福をお祈りします。2023/10/18