内容説明
本郷に生れ今も住む著者の半世。わが内なる本郷――鴎外、漱石をはじめ、本郷に住んだ文人たちや伯父・佐々醒雪、父母のこと、個人的な体験など、本郷を中軸に据え、そこにかかわる様々を語りながら、時代を生き生きと甦らせ、半生を映し出して行く。私が本郷を所有するのか、本郷が私を組み込むのか。本郷に染着する文化を見事に描ききる、『夕鶴』の作者の限りなき本郷愛着の記。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
筑紫の國造
7
題名通り、劇作家の著者が自分が生まれ育った本郷について語ったエッセイ。多くの文化人が住んだ、教養を感じさせる本郷の風物の紹介はそこそこ面白い。が、これは個人的な趣向ではあるが、文体がどうにもとっつきづらい。文章は読み易いにも関わらず、好きになれなかった。一文が長く、また主客がよく分からなくなることがままあった。さほど長くはないが、読み終わった後に疲労感だけが残る、ある意味私にとって稀有な体験だった。もう、この人の本は読まないかも。2017/02/09
げんなり
2
生まれ育った土地について語る自伝のようなものかと読み始めたのだけど、予想は良い方向に裏切られていき、最後まで実に面白く読めた。 本郷という土地ならではの文化的な在り様がまず興味深いが、それに合わせて著者の父親の生地熊本の地名やら方言やらが出てくるのも、個人的に懐かしく、そして大戦前の時期の何か大きな流れに巻き込まれそうな世相もしっかりと書かれていて、この語り方が小説の形として、現在の理想かなと考えた。 戯曲もあれこれ読んでみたい。2024/09/14
駒場
2
木下と本郷の思い出。自伝というかエッセイ的というか。なので本郷とあまり関係のない記述も結構あります。本郷もだいぶ様変わりしてしまったが、現在もある店、地形、景色というのを想像しながら読むと味わい深い。大学にめり込むようにして立っている交番とか、見送り坂とか、かねやすとか。関東大震災時の様子や、満州事変できな臭くなってきた頃の様子、同時代の著名人の様子を記述している箇所が面白かった2015/05/30
8
1
本郷愛に溢れるあまり、自分の住んでいた小石川の茗荷谷界隈まで“本郷”に含めるあたりに、その偏愛が見て取れる。佐々酩雪の甥だというのにも驚いたけど、親戚に学者が多く、多くのエピソードに学問の町の香りがする。棚澤書店のエピソードはただただ有難い。2023/06/02
いくっち@読書リハビリ中
0
好きすぎてたまらない。劇作家・木下順二の”本郷愛”を綴った回想録。長文レビュー→http://www.honzuki.jp/book/201875/review/90601/2012/12/14
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