内容説明
低俗視されていた映画などB級文化の優性の発見――単行本刊行時「恥部を軽蔑するな! 恥部こそ生産的だ!」という挑発的な名コピーで、活字文化信仰を震撼させた快著。映画、演劇、ミュージカル、演歌、浪曲などを低俗と見なす風潮に敢えて抵抗し、溌剌とした批評精神と快適極まる説得力で、「B級文化」を「合法化」した先駆的なエッセイ群。常に既成価値を転倒し、未来性を追求する著者の強靱な力業。
感想・レビュー
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mstr_kk
6
しょーもない話のようでいて、ときどき鮮やかな分析とレトリックが繰り出され、読んでいて心地よいです。「後者(第二次世界大戦)は、唯一の社会主義国であるソ連の打倒を究極の戦略目標とする、資本主義諸国のあいだで計画された、複雑な性格をもつ戦争だったとおもうのです。つまり、第二次世界大戦は、吉行淳之介ふうにいうならば、第一次世界大戦の結果、強烈な原色の赤を投げこまれたために、世界地図の呈した混乱だというわけです」2024/08/20
ミスター
1
蟹に関する話やランプの分析など所々面白いところもあるのだが、全体を通して見ると戦中期の論文の方がやはり面白い2018/11/10