内容説明
『復興期の精神』の著者の代表的戯曲3篇を収録――虚実交錯する二元的批判構図を持ち、特異な発想と構想で、常に戦後文学に先鋭な問題を提起し続けた『復興期の精神』の著者・花田清輝の、代表的戯曲3篇。明治18年、自由民権運動を背景に、女壮士・新聞記者・講釈師・演歌師などを配して、その過激な運動の壊滅までの顛末を描いた諷刺喜劇「爆裂弾記」のほか、「ものみな歌でおわる」「首が飛んでも――眉間尺」を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
amanon
3
こんな作品も書いていたんだ…というのにちと驚き。これまで読んできた作品からユーモラスで、意外と俗っぽさを好む側面もあると感じてはいたが、ここまで軽妙なやり取りが展開される戯曲を書いていたとは。しかも、これらの戯曲の初演が大コケしたというのが、なぜかさもありなんという感じで笑える。気になったのが、表題作のいずれもが、冒頭に出てきた人物が終盤には登場しなくなったこと。これには何か共通する意図があったのか?意外なことに、「爆裂弾記」はてっきり全共闘運動後の動きを受けてのものだと思っていたのに、違っていた…2025/11/25
slowbird
1
花田清輝の戯曲3編。 「ものみな歌でおわる」確かに江戸時代で一番の金持ちは佐渡金山の奉行だったかもしれない。金の着服はし放題。やけっぱちな策謀と繁栄の佐渡に、出雲阿国をはじめとした新しい芸能が生まれる。旧時代の生き残りが跋扈する中に、若者はズケズケものを言うところも時代の移り変わりだろうか。 「爆裂弾記」日清戦争前夜の清国討つべし勢がテロを企てる。民権論者で反政府勢力で、アジア解放を目指すために対外強硬派。木下尚江のような反戦論者と主張は対照的だ。優柔不断も向こう見ずもいて、さてどこで爆弾は爆発するのか。2026/07/30
あかふく
0
小沢信男の解説タイトルは「雲をつかむ男」となっている。花田清輝が戯曲等で扱う事態は多彩であっても、そこに漂うものを見るとすれば、その「雲」、そこから感じる「浮遊」のイメージを言うことができそうだ。「ものみな歌でおわる」には「遊」びの要素が散りばめられる。「あの遊びのなかで、わたくしは、取憑くこの、化けることと、おどろかすことの面白さを、はじめて知りました。」さらに歌や、言葉遊び、阿呆、赤ん坊…。そして遊びは仮象に関わり、物真似遊びにもなる(p.105)。2014/08/27




