教育政治学を拓く - 18歳選挙権の時代を見すえて

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教育政治学を拓く - 18歳選挙権の時代を見すえて

  • 著者名:小玉重夫
  • 価格 ¥3,190(本体¥2,900)
  • 勁草書房(2021/05発売)
  • ポイント 29pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784326299119

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内容説明

2015年6月に成立した改正公職選挙法により、2016年夏の選挙から18歳以上による投票が実現した。18歳選挙権の実現は戦後史において大きな転換であり、戦後教育においてタブー視されてきた政治と教育の関係を問い直す契機となる。この今日的局面を教育の再政治化という歴史的文脈のなかでとらえ、新たな「教育政治学」の方向性を提示する。

目次

はじめに──一八歳選挙権の成立をうけて

I 歴史:教育の再政治化

第一章 戦後教育の脱政治化
 1 子ども・青年を理解する方法の問い直し
 2 政治的子ども・青年把握から教育学的子ども・青年把握へ
 3 教育学的子ども・青年把握の変容
 4 子ども・青年を他者としてとらえる──共同性から公共性へ

第二章 教育実践史における再政治化の系譜
 1 脱政治化に抗して──教師の権力性批判の系譜
 2 社会的なるものの勃興と教育の脱政治化
 3 埼玉教育塾における教師の権力性批判
 4 政治的コーディネーターとしての教師

第三章 自由化のパラドクスと「政治」の復権
 1 「短い二〇世紀」──転換期としての一九九〇年代
 2 英米における福祉国家の再編と「第三の道」
 3 日本における福祉国家の脆弱性と「政治的意味空間」の未形成
 4 自由化のパラドクス
 5 教育の再政治化と一八歳選挙権の成立

II 理論:教育政治学の条件

第四章 シティズンシップのアポリアとしての包摂と排除
 1 グローバリゼーションと包摂型社会
 2 包摂のシナリオとそのアポリア
 3 包摂と排除の境界線、その関係
 4 ハート=ネグリとアガンベンの対立の意味するもの──境界線の反転か、無化か
 5 マルチチュードとホモ・サケルの間──政治的なるものの固有性

第五章 教育政治学の可能性
 1 教育の再政治化をとらえる枠組みの胎動
 2 アルチュセール・インパクトの意味
 3 アルチュセールのイデオロギー論再読
 4 教育政治学の課題へ向けて

第六章 教育における遂行中断性
 1 新自由主義とどう向き合うか
 2 教育改革における遂行性(performativity)の浮上
 3 遂行性の転用可能性と、その限界
 4 遂行性から遂行中断性へ
 5 新しい教育政治学のために

III 実践:政治的シティズンシップの方へ

第七章 ボランティアから政治的シティズンシップへ
 1 シティズンシップへの関心
 2 ボランティア的シティズンシップの台頭とその背景
 3 ボランティア的シティズンシップへの批判
 4 対立図式を超えて──もう一つのシティズンシップ
 5 ボランティアとシティズンシップの新たな関係に向けて

第八章 政治的シティズンシップの諸相──クリック・レポートの思想的背景
 1 課題としての政治教育
 2 「クリック・レポート」とイギリスのシティズンシップ教育
 3 なぜ政治的リテラシーなのか
 4 熟議と闘技の間で
 5 クリックからアレントへ

第九章 論争的問題と政治的リテラシー
 1 政治的リテラシーとシティズンシップ教育
 2 政治的リテラシーと論争的問題の教育
 3 論争的問題の教育の実践例
 4 考える市民を育てる
 5 無知な市民の可能性
終章 一八歳選挙権の時代に教育の再政治化と向き合うために
 1 教育基本法第一四条
 2 国民投票法との関係
 3 立憲主義=権力の制限と、憲法制定権力=権力の樹立
 4 政治的リテラシーと論争的な問題
 5 高校生の政治参加──新旧の通知をめぐって
 6 おわりに──遂行中断性から中断のペダゴジーの方へ

文献
初出一覧

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ステビア

24
ごちゃごちゃ理屈をこねてるが結局政治的リテラシーをつけさせるのが大事という結論2022/03/29

kuro

0
教育現場において教師が政治を扱う上で必要なスタンスについて、これまでの日本の教育と政治との関わりの歴史をふまえ、教育政治学の創生の観点から掘り下げた理論が述べられていた。 理論としての教師としてのスタンスは多くの現場教師が考えているもの、理想としているもののように感じた。しかし、実際の実践となると政治や宗教は重箱の隅をつつくような批判に晒されやすい恐怖もある。 仕著者が述べたような政治教育を仕組みとして組み上げることが今後必要となることかもしれないと思った。2018/12/17

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