子育て支援が日本を救う - 政策効果の統計分析

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子育て支援が日本を救う - 政策効果の統計分析

  • 著者名:柴田悠
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  • 勁草書房(2021/05発売)
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  • ISBN:9784326654000

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内容説明

いま日本に一番効く政策は何か。それは保育サービスを中心とした「子育て支援」だ。短期的には労働生産性・経済成長率・出生率を高め、子どもの貧困を減らすことができる。また長期的には、財政的な余裕を増やし、貧困の親子間連鎖を減らし、社会保障の投資効果を高めるのだ。客観的なデータに基づく、統計分析から提言される政策論!

目次

はじめに

第1章 本書の問いと答え──子育て支援が日本を救う
 1・1 労働生産性を高め財政を健全化させる政策──保育サービス・労働時間短縮・起業支援など
 1・2 自殺を減らす政策──職業訓練・結婚支援・保育サービスなど
 1・3 子どもの貧困を減らす政策──児童手当・保育サービス・ワークシェアリング
 1・4 財源確保の方法──相続税拡大・資産税累進化など
 1・5 日本の「現役世代向け社会保障」が乏しい背景──人口構造・民主主義・宗教
 1・6 「選択」は「歴史」をのりこえる

第2章 使用データと分析方法
 2・1 使用データの概要
 2・2 分析方法──経済成長の研究から学ぶ
 2・3 経済成長とは何か
 2・4 経済成長率の先行研究
 2・5 説明変数と被説明変数
 2・6 最小二乗法推定(OLS推定)
 2・7 パネルデータ分析でのOLS推定──動学的推定と一階階差推定
 2・8 「逆の因果」の除去──操作変数推定
 2・9 すべてを兼ね備えた一階階差GMM推定
 2・10 一階階差GMM推定の手続き
 2・11 実際上の留意点
 2・12 使用データについての留意点

第3章 財政を健全化させる要因──労働生産性の向上
 3・1 背景──財政難という問題
 3・2 仮説
 3・3 データと方法
 3・4 結果
 3・5 結論

第4章 労働生産性を高める政策──女性就労支援・保育サービス・労働時間短縮・起業支援など
 4・1 背景──「労働生産性の向上」は財政健全化をもたらす
 4・2 仮説
 4・3 データと方法
 4・4 結果
 4・5 結論

第5章 女性の労働参加を促す政策──保育サービス・産休育休・公教育
 5・1 背景──「女性の労働参加」は「社会の労働生産性」を高める
 5・2 先行研究で残された課題
 5・3 仮説
 5・4 データと方法
 5・5 結果
 5・6 結論

第6章 出生率を高める政策──保育サービス
 6・1 背景──「出生率の上昇」は財政健全化をもたらす
 6・2 先行研究で残された課題
 6・3 仮説
 6・4 データと方法
 6・5 結果
 6・6 結論

第7章 自殺を減らす政策──職業訓練・結婚支援・女性就労支援・雇用奨励
 7・1 背景─自殺率という問題
 7・2 先行研究で残された課題
 7・3 仮説
 7・4 データと方法
 7・5 結果
 7・6 結論

第8章 子どもの貧困を減らす政策──児童手当・保育サービス・ワークシェアリング
 8・1 背景──子どもの貧困という問題
 8・2 仮説
 8・3 データと方法
 8・4 結果
 8・5 結論

第9章 政策効果の予測値
 9・1 予測値の計算方法
 9・2 OECD平均まで拡充する場合の予算規模と波及効果
 9・3 待機児童解消に必要な予算規模
 9・4 その場合の波及効果
 9・5 他の目標のための予算規模
 9・6 結論─現実的な目標設定と予算規模

第10章 財源はどうするのか──税制のベストミックス
 10・1 行政コストの削減には限界がある
 10・2 財政方式をどうするか
 10・3 個人所得税・社会保険料の累進化
 10・4 年金課税の累進化
 10・5 被扶養配偶者優遇制度の限定
 10・6 消費税の増税
 10・7 資産税の累進化
 10・8 相続税の拡大
 10・9 相続税拡大だけならベルギーの1・2倍
 10・10 小規模ミックス財源
ほか

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

きいち

34
まさに有無を言わさぬ迫力。◇OECD諸国の政策のこれまでの政策と各種指標の統計的分析から、日本が第一に取るべき施策を「保育サービス拡充」などの子育て支援だと提示する。そっけなく論文そのものの文章&構成ながら、だからこそ伝わってくる底力。まるまる一章分を費やして記述される統計方法の紹介に、鬼のような分量の基礎データを投入する人海戦術の光景がありありと浮かんでくる。◇もちろん、これはあくまでデータであり因果関係は数理的なもの。でも、だからこそ、考えが異なる者同士の合意形成につながる。そんな著者の自負も感じる。2016/09/19

ATS

13
★★★国レベル、都道府県レベルのさまざまな統計を用いて、日本が抱える問題(労働生産性を高める、女性の労働参加の促進、出生率を高める、自殺を減らす、子どもの貧困を減らすなど)の解決案を提示し、そのための財源確保にまで言及(個人所得税・社会保険料の累進化、年金課税の累進化、消費税の増税、資産税の累進化などの小規模ミックス)しているすばらしい本である。ぜひ国会議員に読んでもらいたい。でなければ、実行が困難だからだ。しかし、私たち庶民にも選挙で政府を決める権利がある。若年者はこれを読み、積極的に選挙に行こう。2016/12/02

いとう

5
『アベセダリアン・プロジェクト』や『ペリー就学前プロジェクト』から興味を持った。両プロジェクトは幼児期教育の重要性と捉えられがちだが、幼児教育の効果ではなく子育て支援の効果である。 実際の子どもを対象にした両プロジェクトとは違い、本書は統計的分析によって子育て支援の意義と効果を証明する。 自分自身が統計に暗いからということもあるが、実際の子どもがいないだけに、多くの数字が(国を救うことがあっても)誰を救うのかイメージしにくかった。2022/09/29

takao

2
ふむ2023/07/09

jackbdc

2
本書の秀でた点は2つあり、一つ目は前例が少ない効果分析に挑戦したこと。二つ目は冒頭に読み方を明示しており、読み手への配慮、筆者の誠実さを感じた。異論のある点も2つ示すとすると、一つ目は”日本を救う”という問題設定自体が意味不明であること。何がどうなって誰のどのような幸せに繫がるのかが全く理解できない。二つ目は子育てに対する想いの浅薄さを感じること。広く社会政策全般を射程に論じるのであれば、預け先が足りる・足りないの話に終始するのではなく、休業や所得補償等の労働社会保障等も含めて構想する奥深さが欲しかった。2021/02/23

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