内容説明
戦争やペスト、対立や無理解など、人間的苦悩のただ中から歌い上げられた神への信頼と賛美。宗教改革期から18世紀にかけてドイツ・コラールを育んだ時代と信仰を、賛美歌作家たちが生きた地を訪れて図版や写真と共に綴る。美しい響きがいっそう深く心に迫る。2007年7月25日発行の初版を底本に電子化。【目次】はじめに/1 神はわが砦 マルティン・ルター/2 フスの継承者たち──ミヒャエル・ヴァイセとボヘミア兄弟団/3 ヨーロッパの十字路─ストラスブールとグライター/4 鉱山の子どもたちの友 ニコラウス・ヘルマン/5 コラールの女王、コラールの王 フィリップ・ニコライ/6 シュレジアのヨブ ヨハン・ヘールマン/7 私の頼りはただキリストにのみある! マルティン・リンカルト/8 あなたの道を主に委ねよ パウル・ゲルハルト/9 新しい慰めの歌 ヨハン・クリューガー/10 ネアンダーの谷 ヨアヒム・ネアンダー/11 ハレ出身の賛美歌作家たち アウグスト・ヘルマン・フランケ他/12 こころを一つに──ヘルンフートへの道 N・L・ツィンツェンドルフ/13 ヴァンツベックの使者 マティアス・クラウディウス/コラール関連年表/あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
259
著者の小栗献氏は、教団の牧師であり、讃美歌委員を務める。かつて、ケルン・ボン日本語教会牧師として赴任。その間にドイツ各地のコラールの故郷を訪ね、『礼拝と音楽』に連載。本書はそれをまとめて再編集したもの。巻頭はもちろん「神はわが砦」のルター。以下、フスとボヘミア兄弟団、フィリップ・ニコライ、マルティン・リンカルト、パウル・ゲルハルトなど13人のドイツの讃美歌作者の軌跡を追ってゆく。今までなにげなく歌っていた讃美歌も、それぞれに来歴のあることがわかり、理解が大いに深まったように思う。2024/10/19
Yuko Miura
1
素晴らしかったです。作者の小栗先生に感謝です。今まで、コラールの作曲家の名前はそれなりに見ていましたが、作詞者に関心がありませんでした。この本を読んで、作詞者にとても親近感が持てるようになりました。もう一度、知識を整理しながら、読み直したいと思います。 それにしても、コラールは初期はカトリックとプロテスタントの争いから、その後は敬虔主義とルター派正統主義の相違の中から生まれ、ヘルンフートのエキュメニカルな運動につながっていく。その後ろにずっとペストなど命の危機がある。その中で、今も歌い継がれるたくさんの、2013/02/13