内容説明
「本を作りたい」という長年の夢を叶えたくて、出版社にばかりエントリーしていた岩城澪。だけど就活の結果は玉砕続き。誰もがやりたい仕事に就けるわけじゃない。やりたくなくはない仕事の中から、自分にできそうなものを選ぶ。そう自分に言い聞かせ、派遣の事務として働いてきた。なのに派遣切り――。社会の難易度どうなってんの!? 生活のためまた別の派遣で働くことにしたものの、なぜか不動産営業として新築タワーマンションを売る羽目に。さらに唯一の社員は窓際族でまったく頼りにならないことが発覚…! あてにならない窓際社員と力を合わせず、澪はなんとか自力で契約を勝ち取ろうとするが……!? 就職できなくても、人生は終わってくれない。崖っぷちハケン社員の営業奮闘記。
目次
1 就職できなくても、人生は終わってくれない
2 自分の家賃が払えなくなりそうなので、他人にマンションを売ることにします
3 イケメンじゃありません、ハンサムです
4 職場カーストの片鱗
5 職場カーストの核心
6 社会人の定義
7 私たちはさいたまタワーのない世界線に生きている
8 グランドオープン
9 海には海の、山には山の、営業には営業の装備がある
10 夢がふくらむ部屋
11 夢を叶える部屋
12 節目の日
13 青天の霹靂
14 運命の部屋
15 契約までのカウントダウン
16 人生は続くよどこまでも
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
43
長年の夢を叶えたくて出版社にばかり就職活動した結果、見事玉砕した岩城澪。その後派遣の事務として働いてきた彼女が、契約を切られてしまい、まさかの不動産営業として新築タワーマンションを売る羽目に陥るお仕事小説。生活のため仕方なく働き始めたものの右も左も分からない業界で、窓際族でまったく頼りにならない唯一の社員。けれど働いている中で助けてくれる人もいて、心持ちが変わるとお客様のことや思わぬ側面がいろいろ見えてくることもあって、悲喜こもごものエピソード、たくましく成長していく澪の変化が、とても印象的な物語でした。2021/05/24
Yunemo
40
単なるお仕事小説になってしまったかな。タイトルからすると瀬戸際のハケンが中心となってしまい、窓際の正社員の存在が薄っぺらな感じになってしまって。二者を共存させてそれなりにスポットライトを当てた展開にして欲しかったかな。人生なんて、たまたまの連続かもしれない。また、結局結果は運みたいなこと、強いて言うなら本人がノレてないからかも。この表現にいたく納得して。総合職社員と派遣社員、その違い。また実力ありきの歩合で稼げる派遣社員。働き方改革の本来の意味からじゃないけど、このお題目に甘えが出てくる社員もいたりして。2021/06/20
ぐっち
28
「Bの戦場」のゆきたさんのお仕事小説。タワーマンション販売の裏側が面白かった。キャラがいきなり多く、若干覚えられなかった。日下部さんより杉政さんより、一番かっこよかったのは能海さんかな…。2021/05/09
よっしー
25
タイトルが気になって手に取りました。私の職場も多くの派遣さんに助けられて回っているのですが…雇われ先の企業の機嫌(というか、人員次第?)で契約終了となりかねない不安定な立場なのですね…。ただ、給与形態はよく分かっていませんが、正規雇用の方が絶対に良いとは言えないような…というのが、自分の職場を見ていて感じた疑問です。それはさておき、不満を言いつつも与えられた仕事をきちんとこなすために勉強している主人公の性格は応援したくなりました。2023/05/21
山猫
21
またまたさいたま新都心が舞台。派遣という雇用形態がここまで労働者に不利で不安定かつ過酷なものだとは知らず「バブルの負の遺産」くらいにしか思ってなかった。 そんなハンデをものともせずに、海千山千のお客を相手にブラックな千三つ屋で頑張るヒロイン。多分シリーズ化されるだろうけど、あまり長くは続かないだろうな。2022/07/29