岩波現代文庫<br> 岡本太郎の見た日本

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岩波現代文庫
岡本太郎の見た日本

  • 著者名:赤坂憲雄
  • 価格 ¥1,914(本体¥1,740)
  • 岩波書店(2021/04発売)
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  • ISBN:9784006004255

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内容説明

太郎はいま,身をやつした民族学者となって,旅に出る.縄文土器を発見し,東北,沖縄,そして韓国へ.かつてパリで民族学を学びバタイユらと親交を深めた太郎が,類まれな感性で見出した日本とは.その道行きを鮮やかに読み解き,思想家としての本質に迫る.Bunkamuraドゥマゴ文学賞,芸術選奨文部科学大臣賞受賞作.

目次

はじめに 岡本太郎とはだれか┴第一章 前史/パリのおもかげ┴動物的な自画像の群れ┴パリ体験をめぐる精神史┴バタイユ、聖なるものと結社へ┴モース、世界や人間の多様性へ┴太郎はいま、日本にいる┴第二章 身をやつした民族学者┴第三の縄文の発見から┴四次元との対話は可能か┴はるかに、日本回帰からは遠く┴たとえば旅する獣のように┴第三章 獣の匂い、または東北的な┴ナマハゲの面の蔭に 秋田の旅┴東北、かぎりなく馬的な 岩手の旅(上)┴鹿と熊の祭り、そして縄文へ 岩手の旅(下)┴口寄せするイタコたち 青森の旅(上)┴夜は婆さんとひらかれて 青森の旅(下)┴修験道という軽やかな闇 山形の旅┴第四章 沖縄、ひとつの恋のように┴現代日本をながめかえす鏡┴悲劇と自由のはざまに┴歌と踊り、消えてゆくものへ┴御嶽、なにもない神の場所┴東洋のはて・西洋の影┴第五章 臍の緒として、韓国へ┴中世の混沌とした息吹き┴半島の民族芸術の底に┴チャンスン、または風の柱を求めて┴第六章 世界とはなにか┴世界性と民族性のはざまに┴パティキュラーな現実から┴おわりに ふたつの対話から┴補章 頭部の専制を拒絶せよ、と太郎はいう┴参考文献┴あとがき┴岩波現代文庫版あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

HANA

68
岡本太郎がパリ大学で受けた民族学に注目し、「まつろわぬ民族学者」としての岡本太郎を捉えた一冊。基本的に論じられているのは東北、沖縄、韓国紀行なのだが、その旅路の中から原日本的なものを見つけようとしていると論じる部分は極めて興味深い。ここで著者が岡本太郎に仮託して論じているいくつもの日本という問題。これ著者が東北学で説いているものと同じで、そう考えるとこれは岡本太郎の評論であると同時に紛れもなく著者の書物でもあるなと。あと紹介されている岡本太郎の本、紀行文としても面白そうなので読んでみたいものである。2022/12/02

ホークス

42
元本は2007年刊。難しいけど、『神秘日本』等への理解が深まった。岡本は新しく価値を発見し創りだす、と著者は言う。人間の負っている矛盾に身を晒し、創造する人間を夢見た人だと私には思える。本書が理屈っぽいのは、岡本に倣って常識に与せず、著者がゼロから確かめているから。例えば岡本の撮る写真が彼の認識そのものである点を丁寧に論証する。ところで、著者の称揚する日本人の多神教的な受容性はいっけん優しげだが、本質的な対決を避ける事でもある。その陰湿さ、残酷さを岡本は憎んでいたと思う。空気の苦手な私だから気になるのか。2024/08/12

なまこんぶ

0
5月で1番愉快な体験になった。 岡本太郎のタフな感性を借りながら東北や沖縄を旅行したらさぞかし楽しいだろう。当時、世界的にもトップクラスの教養を持っていた岡本太郎、その知性に裏付けられた感性の「体幹」に舌を巻く。コジェーヴの講義にも出てたんじゃなかったっけ?かつての思想史最前線の臨場感。 赤坂憲雄の、アカデミックで慎重な姿勢を崩さないにもかかわらず抒情に富んだ筆致は、いつものことながら読書体験をドラマティックなものにしてくれる。 電子書籍で買ってしまったが、紙の本が欲しい。2023/05/11

令和の殉教者

0
多くの人にとって、岡本太郎の名は太陽の塔の素っ頓狂な顔とともに知られる。Don't think,feel.の芸術家と錯覚してしまうが、そうではない。青年時代を戦間期パリで過ごした太郎は、バタイユと交流しモースに師事するなど、巨大な知の渦中にあった。しかし太郎はその奔流に呑まれることなく、独自の思想を持つに至る。縄文土器の発見や東北・沖縄・韓国のフィールドワークを通して現れるのは、生活、もっと言えば、la vie(生命の意もある)のエネルギーを見抜く眼差しである。芸術を爆発させるのは、そのエネルギーなのだ。2021/01/02

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