内容説明
太郎はいま,身をやつした民族学者となって,旅に出る.縄文土器を発見し,東北,沖縄,そして韓国へ.かつてパリで民族学を学びバタイユらと親交を深めた太郎が,類まれな感性で見出した日本とは.その道行きを鮮やかに読み解き,思想家としての本質に迫る.Bunkamuraドゥマゴ文学賞,芸術選奨文部科学大臣賞受賞作.
目次
はじめに 岡本太郎とはだれか┴第一章 前史/パリのおもかげ┴動物的な自画像の群れ┴パリ体験をめぐる精神史┴バタイユ、聖なるものと結社へ┴モース、世界や人間の多様性へ┴太郎はいま、日本にいる┴第二章 身をやつした民族学者┴第三の縄文の発見から┴四次元との対話は可能か┴はるかに、日本回帰からは遠く┴たとえば旅する獣のように┴第三章 獣の匂い、または東北的な┴ナマハゲの面の蔭に 秋田の旅┴東北、かぎりなく馬的な 岩手の旅(上)┴鹿と熊の祭り、そして縄文へ 岩手の旅(下)┴口寄せするイタコたち 青森の旅(上)┴夜は婆さんとひらかれて 青森の旅(下)┴修験道という軽やかな闇 山形の旅┴第四章 沖縄、ひとつの恋のように┴現代日本をながめかえす鏡┴悲劇と自由のはざまに┴歌と踊り、消えてゆくものへ┴御嶽、なにもない神の場所┴東洋のはて・西洋の影┴第五章 臍の緒として、韓国へ┴中世の混沌とした息吹き┴半島の民族芸術の底に┴チャンスン、または風の柱を求めて┴第六章 世界とはなにか┴世界性と民族性のはざまに┴パティキュラーな現実から┴おわりに ふたつの対話から┴補章 頭部の専制を拒絶せよ、と太郎はいう┴参考文献┴あとがき┴岩波現代文庫版あとがき
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