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内容説明
ハーバーが第一次大戦下のドイツ軍で毒ガス開発を指揮したのは、戦争早期終結のためだった。だが友人のアインシュタインからは「君は才能を大量殺戮のために使っている」と言われ、妻は研究に反対し自死。やがて愛する祖国を追われたノーベル賞科学者の数奇な生涯を描く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
樋口佳之
55
「科学者は平和時には世界に属するが、戦争時には祖国に所属する」/夫人の悲劇だけはなんとなく知ったいましたが、ハーバー個人の評伝に止まらない科学技術と戦争の絡み合いについての現実を語る本であると読みました。/「戦争を早く終わらせるために」「人道的兵器」うーん…。2021/12/18
さすらいの雑魚
39
空中窒素固定法が食料の大増産を可能とし飢餓の恐怖を過去の物とした。この偉業はフリッツ・ハーバーの栄誉と刻まれるが、ユダヤ系の愛国者ハーバーは第一次世界大戦のドイツ勝利のため毒ガス兵器の開発に辣腕をふるう。毒ガス博士の悪名は彼の栄光を地に落し、マッドサイエンティストと貶める。彼が開発した殺虫剤ツィクロンBが絶滅収容所で同胞の殺戮に転用と知れば、運命の悪趣味な冗談に反吐がでる思いだぞ。世界の冠たる独逸科学界の指導者は、ユダヤ人ハーバーと祖国より追放され客死。第三帝国の蛮行を知る前の召命は残酷な神の善意なのか?2021/12/06
Miyako Hongo
10
空中窒素固定を産業化し、人類を飢餓から救った科学者フリッツ・ハーパーの物語。ユダヤ人でありながらドイツを愛し、戦争の早期終結のために毒ガスを製造。悪名高きマスタードガスも、あのチクロンBも彼の作であると言う。□情に厚く、部下の信奉を集め、発明を産業として成立させる手腕も持っていた。ほとんどスーパーマン級の人物だが時代の巡り合わせが最悪だった。よかれと思った事すべたが裏目に出て、向こう岸に見える故国への帰郷を願いながら死去。同世代のアインシュタインとの差異は本当に国への帰属意識だけだったのかが気になる所。2019/10/06
takao
5
ドイツのユダヤ人。アンモニア合成や毒ガス開発2023/05/18
akanE
3
年始に行った科博の毒展でフリッツ・ハーバー博士を知ってからどうにも気になってこの本を入手。展示では一人目の妻クララが抗議の自殺をしていることや、それでも以降も精力的に毒ガス開発に取り組んでいたこと、日本に来たことあることくらいしかわからなかったので、そこに至るいろいろを知れてよかった。クララをはじめ周りの人、彼自身もあまり幸せな時期がなさそうな人生。時代と場所が違っていたらもっと幸福な人生だっただろうに。2023/04/02