時間軸で探る日本の鳥 - 復元生態学の礎

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時間軸で探る日本の鳥 - 復元生態学の礎

  • ISBN:9784806716143

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内容説明

鳥を巡るタイムマシンの旅に出よう。
海に囲まれた日本列島には、
どのような鳥類が暮らしてきたのか、そして人間にどう認識されてきたのか。
化石や遺跡で出土した骨から土器や銅鐸、埴輪で描かれた鳥たち、
江戸時代の博物図譜や現代の野外調査、
人の経済活動が鳥類に及ぼす影響まで、
時代と分野をつなぐ新しい切り口で築く――復元生態学――の礎。

目次

前書き 黒沢令子

1 骨や遺伝子から探る日本の鳥
第1章 化石が語る、かつての日本の鳥類相──太古のバードウォッチング(田中公教)
1 「骨のかたち」から探る!
2 中生代の日本の鳥類相
2 ─ 1 日本に鳥がやってきた──前期白亜紀(1億4500万~1億年前)
2 ─ 2 海をめざした鳥たち──後期白亜紀(1億~6600万年前)
2 ─ 3 滅びたものと生き残ったもの──白亜紀末の大量絶滅(約6600万年前)
3 新生代の日本の鳥類相
3 ─ 1 かつて日本を支配した巨大な海鳥──古第三紀・漸新世(3400万~2300万年前)
3 ─ 2 多様化する鳥類と開かれた日本海──新第三紀・中新世(2300万~530万年前)
3 ─ 3 つながった二本の〝日本列島〟──新第三紀・鮮新世(530万~260万年前)
3 ─ 4 氷河時代のおとずれと日本人の出現──第四紀・更新世(260万~1万2000年前)
4 おわりに

第2章 遺伝情報から俯瞰する日本産鳥類の歴史(青木大輔)
1 遺伝解析から生物のルーツを探る系統地理学
1 ─ 1 遺伝情報から過去を遡る
1 ─ 2 系統地理学の考え方
2 日本列島における系統地理学
3 日本列島における鳥類の系統地理学
3 ─ 1 哺乳類と類似した分岐年代を持つ鳥類
3 ─ 2 哺乳類と類似しない日本列島・大陸間の分岐年代を持つ鳥類
3 ─ 3 近縁な系統がユーラシア大陸に分布していない鳥類
4 おわりに──日本産鳥類のルーツ探しの課題と展望
コラム1 古人骨の遺伝解析から俯瞰する日本列島人のルーツ(青木大輔)

第3章 考古遺物から探る完新世の日本の鳥類(江田真毅)
1 遺跡から出土した鳥骨の肉眼同定
2 ニワトリ──その日本列島への導入を考古遺物から探る
2 ─ 1 いつニワトリは日本に持ち込まれたのか?
2 ─ 2 なぜニワトリは日本に持ち込まれたのか?
3 アホウドリ──その過去の分布と分類を考古遺物から探る
3 ─ 1 日本海から消えたアホウドリ科の鳥はなにか?
3 ─ 2 アホウドリは日本海やオホーツク海で繁殖していたのか?
3 ─ 3 アホウドリは一種ではない?
4 おわりに
コラム2 古代美術の鳥

2 文化資料から探る日本の鳥
第4章 絵画資料からみる江戸時代の鳥類──堀田正敦『観文禽譜』を例にして(山本晶絵・許開軒)
1  『観文禽譜』に描かれた鳥の同定
1 ─ 1 様々な『観文禽譜』
1 ─ 2 描かれた鳥の同定を行った研究
1 ─ 3 同定結果の一致率
2  『観文禽譜』における鳥類名称の現和名との異同
2 ─ 1 現和名との一致率
2 ─ 2 江戸時代の鳥類名称
3  『観文禽譜』に描かれた鳥
3 ─ 1 在来種と非在来種
3 ─ 2  『観文禽譜』とレッドリスト
4 おわりに
コラム3 江戸時代の食文化と鳥類(久井貴世)

第5章 文献史料から鳥類の歴史を調べる──ツルの同定と分布の事例(久井貴世)
1 江戸時代の博物誌史料から「鶴」を同定する
1 ─ 1 文字情報から「鶴」の姿を探る──『本草綱目啓蒙』の事例
1 ─ 2 複数の史料を用いた総合的な検討──謎のツル「丹鳥」をめぐる推理
2 文献史料から江戸時代のツルの分布を調べる
2 ─ 1 文献史料に「生息」するツルを探す
2 ─ 2 文献史料から復元する江戸時代のツルの分布──宇和島藩の事例
3 おわりに
コラム4 文献資料からみた鳥の名の初出時代(黒沢令子)

3 人と鳥類の共存に向けて
第6章 全国的な野外調査でみる日本の鳥類の今(植田睦之)
1 必要なアマチュアの観察者の手による広域調査
2 1970年代から行われている分布調査
3 日本の優占種
4 分布や個体数の増減している鳥
5 増減種の共通点から見える日本の自然の変化
5 ─ 1 増加した鳥の共通点
5 ─ 2 減少した鳥の共通点
6 気候変動の影響
7 調査の課題

第7章 人類活動が鳥類に及ぼす間接的影響から今後の鳥類相を考える(佐藤重穂)
1 外来生物の影響
1 ─ 1 外来鳥類が在来生態系へ与える影響
1 ─ 2 外来捕食者による鳥類への影響
2  生息環境の変化の影響
2 ─ 1 森林利用の変化
2 ─ 2 シカの増加による森林植生の変化
2 ─ 3 ナラ枯れ
3 保全生態学の立場ではどのように対応するか
3 ─ 1 ヤンバルクイナの個体群管理
3 ─ 2 高山帯生息種ライチョウの危機
4 おわりに
コラム5 再生可能エネルギーの利用拡大に伴う問題(佐藤重穂)

後書き 江田真毅
索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

六点

76
「歴史学」側でなく「生態学」寄りの図書である。まず太古の日本で発見された、鳥の先祖と見られる鳥類類似恐竜の化石の出土状況から始まる。考古遺跡から出土する鳥類骨の分析、江戸期の博物学的研究から再現した国内の鳥類の生息域分布。そして、鳥類分布状況全国調査による、ここ40年の森林相の変遷に影響を受けた鳥類についての研究。そして、現在の鳥類が置かれている状況まで広く見た一書である。案の定、博物学的研究史料の利用では、現代の和名と異なっていて同定が難しいかったものの、現在では飛来しない鶴の飛来が有ったこと2022/03/02

hal

15
日本の鳥について、考古学・歴史学からのアプローチでわかった事や、鳥類学の現状をまとめている。鳥類の研究はなかなか大変なようで、他分野との協力もこれからのようです。文献から過去の日本の鳥類の記述を調べようにも、古文書は素人には書いてある内容が読めないし理解できない。書物化されたものでも、膨大な史料のどこに鳥に関する記述があるか見つけるのが大変というのは、古文書を読む大変さが身にしみている私にはよく理解できます。風力発電や太陽光発電が野生動物に悪影響を及ぼしているという話はショックでした。2021/04/07

めめ

3
鳥類が好きなので鳥の本は何でも読みたい。鳥の化石などを調べてる人の本。世の中色んな人がいるなあと感心した。鳥は、昆虫ほど多くなく哺乳類ほど少なくない扱いやすいサイズ、というのがナルホドと思った。江戸時代の図譜、観文禽譜かんぶんきんぷ、というのがあるのを初めて知った。本草綱目と観文禽譜、いつか読んでみたいというか見てみたい。鳥の絵が迫力あって楽しい。弥生時代には鶏は食べるためではなくステータスだったという話も面白かった。読むのが難しくて時間かかったけど面白かったです。2021/07/30

よしあ

1
まとまりのない内容だなあと思った。 あとがきと前書きが逆の方がよかったかも。2022/02/07

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