内容説明
紙をデジタルで置き換えることは,良いことばかりなのだろうか? デジタルに移行することで失うものはないのか? 教育現場での情報技術活用に早くから取り組んできた著者が,デジタル教科書と呼ばれるのはどのようなものか解説し,紙の教科書と比較したメリット・デメリットを論じたうえで,拙速な導入の危うさを指摘する.
目次
はじめに 平等に是非を議論するために┴1 「デジタル教科書」とはどのようなものか┴2 ソフトウェアから見た問題┴3 デジタルコンテンツと学びの質┴4 ネットワーク配備をめぐる政治状況┴5 教育の「クラウド化」と予算┴おわりに デジタルへの興奮を自覚的に鎮める
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
えちぜんや よーた
50
「デジタルコンテンツと学びの質」について。問題点その1:オンライン上の無償サービスは、必ずしも教育に向けて設計されているわけではない(P35)→"たとえば、検索エンジンは、世界中の人々が適切な情報にアクセスすることでより深い世界理解にたどりつけるよう提供されているわけでは、ない。"問題点その2:学習者の入力形式で圧倒的に多いのが「選択肢型」であること(P37)→"iPadの指を使ったマルチタッチによる入力などは真新しく感じられるが、基本的には「選択」の入力をスムーズにしたに過ぎない" 2013/05/26
mazda
18
言い出しっぺは文部科学省ではなくなぜか総務省…。超高速ブロードバンド通信網の整備を謳っている同省が、政策実現のために持ち出した案にすぎないということのようです。デジタルを補佐的に使うのはありかと思いますが、紙を使わないわけにはいかないでしょうね…。2018/07/18
gollum
13
デジタル教科書を議論する上での叩き台として、枠組みをきれいに整理してある。何より、(はっきりとは言わないが)反対派の筆者がデジタルデバイスを使い倒している側の人間であるところに説得力がある。”デジタルの弱みは「面積」”、”ハイパーリンクは理解を助けるか”など、具体的で説得力のある論旨が展開されるのは気持ちがいい。引用文献にもおもしろそうなものが多く、うすいうすい岩波ブックレットの中では、濃密でかなりお買い得の本である。2013/08/18
生ハム
10
長所も短所も洗い出している良書。一般的に言われている「メリット」が、本当にその通りなのか鋭い指摘がされています。専門家ならではの視点がすごい。それでも電子教科書が推し進められる背景は、 それを導入することで生まれる経済効果、 いわゆる「光の道」、光回線を地方まで幅広く引かせたい、 といった政治的な動きが大きいこと、があるあらしい。 何しろ、デジタル教科書について提言を行っているのは、 文科省ではなく総務省だったのだ。 これは全く知らず、驚きました。2013/01/06
びすけっと
10
2012年12月刊。結論から言うと、著者の論に賛同です。本書出版後に筆者が勧めた、高校からのデジタル教科書導入がありましたが、そこがどうなっているのか知りたいです。デジタルの弱点は面積(p.14)。株取引の場面をみるといくつもモニターが並んでいます。結局、学習場面において一覧性と俯瞰性(p.15-16)はとても重要。p.27からの「リンクは理解を助けるか」の研究結果はやはりそうだ!の思いを抱きました。ワークのゲーム化で計算練習達成とモンスターが敗れるという関連性はいかに?という問いも興味深い。 2014/07/28
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