内容説明
地球が滅ぶまで110日。教師は次々失踪し、授業は自習ばかり。そんな中で、今しかできない何かを見つけ実行する。それが、「滅亡地球学クラブ」。部員は自由奔放な部長・玉華、彼女を静かに見守る碧、クールでマイペースな刹那の3人だけ。哲学好きの新入生を勧誘するも断られ......。大人になれない。夢も叶わない。それでも、僕らは明日を諦めない!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
71
3ヵ月後に地球が滅ぶとわかってしまったら? それでも普段どおりの日常を送ろうとする4人の高校生。略して「滅地部」。すでに世界も人心も、想像通りに荒れ果てているのに? いや自分が高校生なら、あるいは彼らのように行動できるかもしれない。大人になれない、というそのものズバリの言葉が胸に突き刺さる。残り日数に繰り広げられる彼らのディテールこそ、作品の重心だと思う。後半のドラマ・葛藤は、こんなテーマであれば、避けられない展開だろう。うまく逃げてほしいという思いで、ラストに向かって、スピードを出して読み切った。2022/11/08
ミヤビ
32
地球が110日後に滅ぶ世界で、「滅亡地球学クラブ」の4人は今しかできない何かを見つけ実行していく。 コロナ禍ということもあって、本書で書かれていた暴動などは他人事ではないなと感じた。山小屋をカメラに改造したり、天体観測、世界暴動が始まった頃からの歴史をまとめるなど、活動は一見楽しそうだが、もう少しで死ぬという事実を頭の片隅に置きながら活動するなんて、私だったらそれどころじゃないし怖くて泣きじゃくってしまうだろうから、その気持ちを押し切ってまで今を精一杯楽しもうとする姿勢は絶対に真似できないだろうな。2021/07/03
ロマンチッカーnao
27
衛星が110日後に地球に衝突し人類が滅亡する。その110日間を高校生4人がどう生きるのかを書いている小説。この110日間までにすでに世界では暴動も起きたし、食料、エネルギーなども満足になくなり、苦しい。でも、諦めからか、世界は静まっている。その110の間に4人の高校生は自分らしく生き、自分らしく死ぬことを求める。110日の間に何が出来るのか、必死に考える。後少しだけど、産まれてきた妹に良い兄であろうとしていきようとする話しや、地球が滅亡するとわかってからの超近代史をまとめようしたり、じっくり再読したい。2022/03/07
紅香
27
地球が滅ぶまで110日。。滅ぶからこそ、今しかできないことを探究する『滅亡地球学クラブ』を立ち上げる。。奇しくもその滅亡の要因。地球に衝突する星の名前が妖星デルタ。まるで何かの暗示みたいな。。暴動。飛び交うデマ。職場放棄。繋がってないライフライン。ほぼ壊滅的な政府。世界同時の危機を味わっているのは同じ。先の見えない不安。叩きつけられたデッドライン。それでも前に進んで、自分の選択した生き方で自分を好きになって全うしようとそれぞれが思うところに共感した。2021/09/20
稲荷
26
人生の時間に限りがあることを突きつけられた少年達が、残りをどうするか、何を思うかがよく描かれていたと思う。そして、どんな時も日常が一番大切でかけがいのないものなのかもしれないと感じた。2021/07/07