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内容説明
「子曰く、学んで思わざればくらし。思って学ばざれば殆し」「子曰く、これを知るものはこれを好む者に如かず。これを好む者は、これを楽しむ者に如かず」。誰でも一度はその一節に触れたことのある『論語』。古典中の古典として通読しておきたいと感じつつも、どこか道徳臭が強く、説教臭くてかなわないと敬遠しがちな人も少なくないのではないだろうか。しかし本書には漢文の授業で習ったような道徳臭や説教臭さはさらさらない。若くして『論語』に出合い、年を経て今日もなお、その真髄を味わうことを楽しみとする、当代一流の読書人である谷沢永一・渡部昇一の二人が、『論語』のなかから「これぞ」という一節四十項を俎上にあげ、社会批評や自分自身の体験を語りつつ、そのエッセンス、読みどころを紹介し、人生にどのように活かしていけるかを本書で語り合った、座談会形式の人生論である。人間社会をしなやかに、そしてしたたかに生き抜くヒント満載の一冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
James Hayashi
29
論語を現代語訳したものなど見かけるが、これは全文でなく、両者がお気に入りのフレーズをあげ、それに解説を加えたもの。時代に即しており時事問題にも触れている。20年程前、薬害エイズ訴訟で消滅したミドリ十字には天下りを望む官僚の影響が大きかった事や、今年発表された新札に渋沢栄一の肖像が使われ岩崎弥太郎がお札にならないのは公に尽くしたという判断基準がある様。論語時代より寿命の長さは比べようがないが、「四十にして惑わず」を覚知することがなかった自分であるが、百年の計を人生に当てはめ価値あるものにしたい。2019/06/17
カブトムシ
15
「あるがままに人間性を見る」というのは「性善説でもなく性悪説でもない」立場を模索するということです。「人間の性は善なり」とか、「人間の性は悪なり」とか、そういう決めつけを念頭に置かないという立場が『論語』の発想であり、『論語』の凄味です。(谷沢永一)本書のように座談によって『論語』を説くというのは新機軸だと思うのですが、『論語』を語るに最もふさわしい方法でしょう。『論語』に対する正しいアプローチとは、教室で教わるのではなく、身近なところで感じるものだと思います。(渡部昇一)人間社会を生き抜くヒント満載。
脳疣沼
3
2人が論語をどう読んできたかが分かる。しかし2人の強烈な個性に置いてけぼりになる感がある。まあそれぞれの個性に応じていくらでも教訓は引き出せるということだろう。2017/01/12
徒生
2
渡部昇一、谷沢永一タッグによる論語の深く、面白い解説。この二人の碩学の人生経験、読書経験から解釈した論語のエッセンスを味わえるすばらしい本だと思います。もっと広く読まれて欲しいなあ。2015/10/01