ちくま新書<br> 氏名の誕生 ――江戸時代の名前はなぜ消えたのか

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ちくま新書
氏名の誕生 ――江戸時代の名前はなぜ消えたのか

  • 著者名:尾脇秀和【著者】
  • 価格 ¥880(本体¥800)
  • 筑摩書房(2021/04発売)
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  • ISBN:9784480073761

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内容説明

私たちが使う「氏名」の形は昔からの伝統だと思われがちだが、約150年前、明治新政府によって創出されたものだ。その背景には幕府と朝廷との人名をめぐる認識の齟齬があった。江戸時代、人名には身分を表示する役割があったが、王政復古を機に予期せぬ形で大混乱の末に破綻。さらに新政府による場当たり的対応の果てに「氏名」が生まれ、それは国民管理のための道具へと変貌していく。気鋭の歴史研究者が、「氏名」誕生の歴史から、近世・近代移行期の実像を活写する。

目次

プロローグ──人名の常識をめぐって
江戸時代の人の「名前」
今、氏名と呼んでいるもの
江戸時代を起点に
本書の構成
第一章 「名前」の一般常識
1 一般通称の世界
江戸時代の〝下の名前〟
名前の〝お尻〟と頭
人名符号の定着
ルールの範囲内で
名跡化と襲名慣行
名を継ぐ意味
相応しい名前
名は体を表す
2 名前としての官名
大和守という名前
大名の場合
官名の選択
四品相当の官名
無視された〝本来の意味〟
叙任という手続き
侍従以上
参議以上と松平の称号
3 擬似官名とその増殖
国名と京百官
東百官
東百官の変形・増殖
恨めしきまなざし
第二章 「名前」にあらざる「姓名」
1 名乗書判の常識
「名乗」とは何か
名乗はいつ・どこで使うか
誰も知らない名乗
名乗と帰納字
書判の設定
書判とは言うけれど
名乗と印形
2 本姓と苗字
本姓と称するもの
苗字の公称
苗字の私称
武右衛門は気にしない
通称と苗字の関係
村内秩序と苗字
一般の人名常識
第三章 古代を夢みる常識
1 朝廷官位と「名前」
朝廷社会の「名前」
些末な拘泥?
江戸時代の朝廷位階
越えられぬ一線
朝廷の官名
官位相当と家格
京官の定員制限
国司に定員なし
転任と名前
庶民の叙位任官と擬似官名
2 「姓名」の用途と「名前」の正体
「姓名」こそが人名
「姓」といわれたもの
姓尸名
官位は姓名の上に接続する
小倉百人一首
称号と実名
実名を呼ぶ文化
用途に応じて
武家官位の申請手続き
長い〝フルネーム〟は存在しない
朝廷の人名常識
3 官名と職名
古代を夢みる者たち
職名の存在
名実の不一致
第四章 揺らぐ常識
1 正論を説く者たち
正しさはどこにあるか
何右衛門らの起源
官名僭称とその名残
官名を盗むな
紛々たる称
今世の風俗は……
武家のルールにご用心
笑わば笑え
靱負佐になりたい
御名差合
荻生徂徠の提起
名を正せ
山県大弐の正名論
2 人名部位の総整理
「名字」に注意
通称なるもの
苗字・称号・氏・姓
屋号と苗字
名前でも姓名でもないもの
3 官位の褫奪と「王政復古」
解官する常識
解官しない常識
長門宰相から毛利大膳へ
一新と復古
第五章 王政復古のはじまり
1 官位と職名
夢の実現へ向けて
新政府職制の登場
並行する官名と職名
七官制
官等の設定
官位秩序との齟齬
混乱の序曲
徴士の叙位
辞退者との混合
官等と位階
五等官以下の官位停止
2 武家官位の行方
褫奪と復旧
徳川内府から徳川慶喜へ
姓名把握の嚆矢
肥前少将と鍋島少将
武家官位は続く
旗本らの官位と整理
森有礼の議案
無意味な可決
第六章 名を正した結末
1 職員令の波紋
旧官の名に拠て更始の実を取る
百官廃止と職員令
官名は官員のみ
どうすればいいの?
波紋の第一波
実名を通称にもする
藩職員の実名系通称
大参事たちの悩み
通称利用は譲れない
非役有位者の削減
波紋の第二波
何右衛門も禁止?
2 姓尸名の奔流
二つの常識
姓名の人名利用
姓名を申告せよ
これが実名?
藩職員たちの困惑
「官名」は「通称」ではない?
もうわけがわからない
3 正名の破綻と急展開
解決策の発明
苗字+実名の登場
「正名」の終焉
姓名の退場
通称・実名の同質化
「一人一名」への帰結
消えたものたち
第七章 「氏名」と国民管理
1 苗字の強制
平民の「名」
意味不明な苗字自由令
苗字公称価値の消滅
苗字強制令の背景
僧侶に苗字を
苗字強制令の実行
隠された「不都合」
苗字の設定
屋号と苗字と…
2 改名制限という新常識
江戸時代の改名
名前は変わるもの
名跡としての名前
同時に複数の本名
壱人両名の世界
改名制限の開始
改名禁止令
改名規制の緩和
名は体を表さない
エピローグ──人名のゆくえ
本書のまとめ
人名のちゃんぽん状態
忘れられた常識
人名は社会を映す
女性の「氏名」
氏名のゆくえ
明治初年人名の変遷と主な関係事項年表
あとがき
参考文献