内容説明
やっと手にした理想の生活だったのに……。
都内のアパレルメーカーに勤務する鈴倉茉菜。茉菜は取引先に勤める穂高にしつこく言い寄られ悩んでいた。ある日、茉菜が帰宅しようとすると家の前で穂高に待ち伏せをされていた。茉菜の静止する声も聞かず、家の中に入ってこようとする穂高。
その時、二人の前にある男が現れる。男は茉菜の夫を名乗り、穂高を追い返す。男は茉菜の夫・和希に間違いなかった。しかし、茉菜が安堵することはなかった。なぜなら、和希はかつて茉菜が崖から突き落とし、殺したはずだったからだ。
戸惑う茉菜をよそに、和希は茉菜の家に上がり込む。改めて話を聞いてみると、和希は過去の記憶を一部なくしており、茉菜と一緒に暮らしたいという。茉菜は渋々それを受け入れる。
かつての和希はとても暴力的な人間だったが、いざ暮らしはじめると、暴力的な影は一切見られず、平穏な日々が過ぎていった。
しかしそんな矢先、茉菜のもとに一通の手紙が届く。手紙には一言だけ「鈴倉茉菜の過去を知っている」と書かれていて……
記憶をなくし帰ってきた、殺したはずの暴力夫。謎めいた正体と過去の愛と罪を追う、著者新境地のサスペンスミステリー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さてさて
663
『願うことはできても、それが叶うことはない。叶わない望みなら、最初から考えない方が良いと、小さいころに学習した』という思いの先の今を生きる主人公の茉菜。そんな茉菜の過去と今が鮮やかなまでに繋がっていく物語には、書名に隠されたまさかの結末が待ち構えていました。”起承転結”の分かりやすい構成が故に、一気読み必死の”ミステリー世界”にどっぷり浸れるこの作品。秀逸の極みとも言えるインパクトのある書名に感じた思いが、読後、全く別物に変わる、最後の一行まで非常によく練られ、考えられた、読み味抜群の作品だと思いました。2022/09/24
しんごろ
642
そういうことかと、してやられた感がある。殺した旦那、幽霊でSF的な話かとか、ない知恵を絞って、いろいろな可能性を考えたよ。桜井美奈、お見事!という感じ。それにしても穂高…、五十嵐貴久の『リカ』の男版かよ!とツッコミそうになるぐらい怖いわ!登場人物、複雑な家庭環境ばかりの人が多かったけど、みんな、優しさと普通の家庭とか、幸せを求めているのは、自分も家庭環境が複雑なので、気持ちは理解できる。桜井美奈作品は温かい物語を書く人だけど、今まで読んだ桜井美奈作品とは違う温かさがあり良かったです。2021/05/07
あきら
431
スピーディーな展開で楽しめました。 ラストに待ち受ける切なさは、この手のストーリーにはあまりない感じだなと。2021/08/21
美紀ちゃん
323
タイトルが不思議で、読んでみた。 ん?どういうこと? と思う場面が何箇所もあり、 面白くて一気読み。 これは、これ以上感想を書くとネタバレになる。 読後すぐの感想は、 あれ?ハッピーエンドなのかな? と思った。2021/11/22
nobby
264
ま、まさか読了後こんなに切なさ染み渡るとは…「ただいまー茉菜」シチュエーションこそあれど、普通に帰ってきたのは5年前確かに崖から突き落とし殺したはずの夫!そこから始まるのはゾンビなホラー!?あるいは怨念溢れる復讐劇か!?そんな憶測とは裏腹に何とも飄々と落ち着いた展開に戸惑うばかり(笑)各章の最後に語られる過去エピソードが徐々に事態の把握に繋がるのと、悲しき境遇から哀愁醸し出されるのが実に効果的。いろいろ混乱しながらも真相へと秀逸に導かれるのに夢中でのめり込んだ。「本とコーヒーが好きな人」に悪い人はいない…2021/06/20
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