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内容説明
ロヒンギャは、ミャンマー西部に住むイスラーム系民族のひとつだ。軍事政権下、国籍が与えられないなど長く差別されてきた。2017年の国軍による掃討作戦以降、大量の難民が発生し、現在100万人が隣国のキャンプで暮らす。民主化運動の指導者アウンサンスーチーはなぜ「虐殺」を否定するのか。本書は、複雑な歴史的背景やミャンマーをめぐる国内・国際政治を通し、アジア最大の人道・人権問題の全貌を示す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
榊原 香織
97
日経書評欄で紹介されてたので早速読む。 ミャンマー、今大変なことになってますから、今年1月刊行のこの本からさらに状況は変化。スーチーさん、また軟禁されちゃったし。 難民問題は、イスラム対仏教、バングラディシュ対ミャンマーの押し付け合いでもあるんですね。 地名さえよく知らないのでちょっと難しく感じた。2021/03/25
ばたやん@かみがた
95
2017年8月、バングラデシュ国境に近いミャンマー・ラカイン州での武装勢力・民衆による蜂起に端を発して、ロヒンギャと言われる無国籍の民族集団に対して殺害含む呵責なき暴力が国軍他によって振るわれ、70万人を越す難民が国境外へ流出しました。現実に起こった残虐行為を追いながら、事件の起こった背景・原因を歴史を遡りながら記していきます。その際、よくありがちな残虐さを声高に非難して制裁を主張し終わりではない。ミャンマー国内の政情や民心の動きに注視し、欧米や日中、さらには国際裁判所や人権団体等を含む(1/7) 2021/07/17
skunk_c
84
本書の中で民主派が常に軍部のクーデタを懸念しているという記述があるが、現実になってしまった。本題はタイトル通りだが、ロヒンギャの歴史をミャンマーのそれと重ねて解説しており、さらに政治状況についてもかなり丹念に書かれているので、今のミャンマーを考えるのにもとても参考になる。インドから進出していったイギリスの植民地化に伴う負の遺産としての、「国民」として認められないムスリムの問題は、アウンサンスーチーですらそれに近い認識を持っているという恐ろしい現実を突きつけている。もう少し中国の関わりを知りたかった。2021/02/15
HANA
71
ミャンマーでクーデターが起きるという状況で読んだ一冊。一時期ニュースなどでよく耳にした「ロヒンギャ」という問題。その起源から現在までを追った本である。とりあえず近現代の問題には必ずヨーロッパが絡んでいるなあ。植民地下から始まる根深い問題なので、ナショナリズムと民族の問題がもはやこんがらがってとんでもない根深い問題になっているのだけはわかる。一方を善とするような単純な見方では何も解決しない事だけは確かなんだけど…。今までニュースで表面上しかわからないロヒンギャ問題について詳しく知ることの出来る良書でした。2021/02/02
ちゅんさん
56
ミャンマーやロヒンギャについてまったく知らなかったが読みやすかった。著者の言葉通り"ロヒンギャ問題の過去と現在を知るための第一歩の読み物"として優れていると思う。だけどこの問題はとても根深く複雑だ。国軍が権力を持ち過ぎな気がするがどうにもならないのか。これからのミャンマーの動向に注視したい。2021/04/22