内容説明
『木曜日にはココアを』で第1回宮崎本大賞を受賞し、『お探し物は図書室まで』で本屋大賞にノミネートされた人気作家・青山美智子氏の最新文庫です。主婦向け雑誌の編集部で働く早坂瞬は、取材で訪れた鎌倉で、ふしぎな案内所「鎌倉うずまき案内所」に迷いこんでしまう。そこには双子のおじいさんとなぜかアンモナイトがいて……。YouTuberを目指す息子を改心させたい母親。結婚に悩む女性司書。クラスで孤立したくない中学生。気づけば40歳を過ぎてしまった売れない劇団の脚本家。ひっそりと暮らす古書店の店主。平成の始まりから終わりまでの30年を舞台に、6人の悩める人々を通して語られる、心がほぐれる6つのやさしい物語。最後まで読むと、必ず最初に戻りたくなります。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
501
現代から過去に向かって、螺旋階段を降りていった。どんどん遡っていき振り向いてみたら、誰もが気づかない見えない糸で縁があった。世間は思ったより狭いかもしれない。昭和から平成そして令和に向けて、見えない糸を手繰り寄せれば、これまで出会った人とは、どこかに縁があったかもしれない。そして、遡るといえば、この作品、読み進めると、何度も前章を読み返す。または遡る、振り返ると言うべきか。要するにはぐれるのだ。そして、ラストの仕掛けに思わずナイスうずまき!と唸ってしまう。そんな青山美智子にもナイスうずまき!だ。2021/06/21
kou
446
ちょっと不思議で、心が温まる読後感。やはり、この著者の本は素晴らしい。最後の年表を見ると、ついつい最初から読み返したくなり・・・まさに、グルグルうずまき状態になってしまう(笑)。自身も所長にアドバイス貰いたいなぁ。2021/11/07
へくとぱすかる
436
最初に戻ってまた読みたくなる。必然的に。こういう手法があったんですね。「ココア」以来読みなれた形式だけど、「おや、前にはどんなふうに出ていたかな」と、必ず前編に戻りたくなる。今回は話が進むにつれて時代が逆行するように書かれていて、ややためらってしまったが、どんどん懐かしい時代へ変わっていくし、なにより登場人物の若い姿にふれられるので、思わずほほえんでしまいそう。「ああ、あの人が」って。それが可能なのは、やはり舞台を鎌倉という町にえらんだことにあると思う。いつか再読して、それぞれの人生をふりかえりたい。2021/10/18
青乃108号
435
青山美智子のいつもの連作短編集。6編収録。鎌倉を舞台に、様々な事情で「はぐれた」人々が訪れる、そこが鎌倉うずまき案内所。それは螺旋階段をぐるぐる下った地下空間にある。待っているのは双子の老人とアンモナイトの所長。人はそこで「案内」を受け、正しい道を見つける。同じパターンで各話が繰り返されるのは「お探しものは図書室まで」と同様だ。「お探し~」はパターンの繰り返しに飽き飽きして正直嫌いだったのに、本作はその繰り返しが心地良く安心して読みきれたのは何故だろうか。判らんけど。最終話にぐっとくる。「今」を生きよう。2026/05/04
bunmei
343
青山作品は、人生の岐路に立ち、悩んでいる人に、そっと後押しをして、次の一歩を踏み出すような勇気を与えてくれる。本作も、生きていけば様々な苦難もあるし、不満もあるが、そんな中で、自分の思いや見方を変われば、周りの世界観も変わり、不満も解消することに繋がることを伝えている。そして、悩みを抱えた6人の物語が、6年ごとに遡りながら、それぞれの物語の中にその6人が登場し、最初に描かれた内容との繋がりをみせて、回収されていく楽しみも味わえる。また、不思議な扉を開くファンタジーの世界観も取り入れた面白さもある。 2021/05/20
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