内容説明
近代科学にパラダイム変革を迫るものとして構想された、「プログラム科学論」。これは法則を秩序原理として世界を説明する近代科学に対して、プログラムを秩序原理に据えた新しい科学観を提起するものだった。生前の論文をまとめ、プログラム科学論の全体像を明らかにする。
目次
I プログラム科学論とは
第1章 近代科学の情報論的転回――大文字の第二次科学革命
1 大文字の第二次科学革命――記号的情報とプログラム
2 近代科学の再編成――設計科学・情報科学・プログラム科学・自由領域科学
3 情報科学とは何か――基礎情報学を事例にして
4 社会情報学の構想――社会科学の基礎部門
5 結語に代えて
第2章 ポスト分子生物学の社会科学――法則定立科学からのプログラム解明科学へ
1 法則と規則
2 分子生物学の科学史・科学哲学的な解釈と評価
3 プログラム解明学を基礎づける認識論的根拠
4 プログラム解明科学を基礎づける存在論的根拠
5 プログラム概念の定義
6 プログラム形態の進化
7 シグナル性プログラム科学とシンボル性プラグラム科学
8 法則とプログラムをめぐる三つの解釈
9 シンボル性プログラムの諸類型
10 プログラム科学の五つの基本的課題
11 プログラム科学における法則の存否
12 法則科学およびプログラム科学における文化的・歴史的要因の位置づけ
13 プログラム科学という自覚がもたらす、従来の科学論的言説への波及効果
14 先行する類似の主張との比較対照
第3章 大文字の第二次科学革命――二一世紀の科学と社会
1 はじめに――大文字の第二次科学革命
2 述語についての予備的考察
3 DNA論・分子生物学の科学史・科学哲学的インパクト――一つの起爆剤
4 「設計論的自然観」と「プログラム科学」の提唱―― 新パラダイムの自然哲学的基盤とその科学的表現
5 自己設計様式の進化――プログラム科学的自己組織様式の進化または「進化様式の進化」、あるいは「進化の一般理論」の構築
6 「自然物対人工物」から「非設計物対設計物」へ
7 科学的「情報」概念の創作――科学における文系と理系の統合
8 情報科学・情報学の構想――新パラダイムの核心
9 「設計科学」の公認――科学における認識と実践の統合
10 ディシプリン科学と「自由領域科学」――科学と社会との統合
11 おわりに――「二元論的一元論」が意味するもの、他
第4章 二一世紀の科学大文字の第二次科学革命
1 はじめに――概念確認と概念創作
2 生物科学・人文社会科学への正統派パラダイムの外挿――一つの歴史的攻防
3 大文字の第二次科学革命と二一世紀科学のネオ・パラダイム――DNA論の衝撃
4 設計論的自然観――新たな自然哲学の構築
5 二一世紀科学の編成(1)――認識科学に対置される「設計科学」の承認
6 二一世紀科学の編成(2)――物理科学に対置される「情報科学」の承認
7 二一世紀科学の編成(3)――法則科学に対置される「プログラム科学」の提唱
8 二一世紀科学の編成(4)――「プログラム」とは何か
9 二一世紀科学の編成(5)――法則科学的自己組織性に対置される「プログラム科学的自己組織性」
10 二一世紀科学の編成(6)――法則とプログラム、および秩序の論理・数学的構造
11 二一世紀科学の編成(7)――「設計科学」の諸類型
12 二一世紀科学の編成(8)――「統合科学」をめぐる新たな視点
ほか