集英社オレンジ文庫<br> 祭りの夜空にテンバリ上げて

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集英社オレンジ文庫
祭りの夜空にテンバリ上げて

  • ISBN:9784086803700

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内容説明

テンバリとは露天商用語で屋台の屋根のこと。新型コロナウイルス感染症の世界的大流行によって失業した渚のもとに、久しく疎遠になっていた父の訃報が入った。しかも、借金の督促とともに。相続放棄をすると、父親の遺した条件のため借金を見ず知らずの他人に押し付けることになってしまう。失業中だった渚に残された道は、父の稼業を継ぐしかない。だが父の稼業、それは渚がもう二度と関わりたくないと思っていたたこ焼き屋――テキヤだった……。お祭りは軒並み見送り、人が集まるイベントも中止、炎天下の路上に露店を出しても集客はできない。八方ふさがりの渚が考えた、起死回生の「この時代のためのお祭り」とは?

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ゆなほし

36
コロナ禍×テキヤというテーマで、世相を上手く反映して物語に仕立て上げる着眼点が面白い!お祭りを舞台にした物語は数あれど、テキヤ側からの視点で描かれているのが新鮮で、しかもコロナ禍ときている。非常に相性の悪いテーマを、借金返済の為奮闘する主人公の内面的成長物語として綺麗にまとめ上げているのは見事。コロナの無い世界を舞台にする事は出来たはずなのに、あえてコロナ禍の物語とした事でノンフィクションとまではいかずとも、かなりの親近感がある物語に感じられた。実に面白かった!2021/06/25

よっち

32
新型コロナで失業し、母のすすめでお見合いした渚のもとに入った父の訃報。テキヤの父が遺した借金を解消するため、二度と関わりたくないと思っていたはずのテキヤとして奮闘する物語。仲違いして遠ざかっていたはずの父とテキヤの仕事。コロナ禍で集客が見込めず八方塞がりの状況で、それでも旧態然とした組合の理不尽に憤り、それでも残された人たちを放り出せずに、あの手この手を考え出す渚が思い出してゆく大切なことがあって、だんだんとらしさを取り戻して、これからの時代も意識しながら挑戦する彼女たちの姿がなかなか印象的な物語でした。2021/04/13

信兵衛

25
コロナ下の苦境を何とか打開しようとする奮闘記、だからこそ陰鬱さを突き飛ばしてくれるような気持ち良さがあります。お薦め!2021/06/30

栗山いなり

6
テキヤを父に持つ失業中の娘が借金返済のためにテキヤとして奮闘する物語。祭りそのものの意義とかテキヤ業界の古い体質とか父親の素顔とか色々な要素を詰め込んでたせいか飽きずに読む事ができた2021/04/04

tomoaoso

5
テキ屋=ヤクザのイメージがあったけど、読んでみたら全然違った。 テキ屋業界の旧態依然とした縦社会の悪い所が非常にリアルに書かれていて、テキ屋だけでなく伝統産業にも同じ事が言えるなと思いました。 お仕事小説としても楽しめます。2021/03/25

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