内容説明
第41回「交通図書賞」受賞作品。 阪急・南海・阪神・近鉄・京阪。競争によって生まれた、関西大手5私鉄の「個性」の秘密をキーワードで読み解く。車両、ターミナル、サービス、沿線文化。なぜ関西私鉄はそれぞれにこれほど個性的なのか? その秘密は戦後から続く競争の歴史にあった。大手5社の個性のありようは、5社があったからこそ際立ったのだ。それを読み解くには、それぞれの鉄道を貫くキーワードがある。知性・愛・フットワークの三拍子を兼ね備えた著者が書く、在東京人だからこそ見える関西私鉄の正体。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よこたん
48
“阪急143・6キロ、南海154・8キロ、阪神48・9キロ、京阪91・1キロに対し、近鉄は501・1キロ。比類なき日本最大の私鉄である。” 近鉄沿線に住んでいたことがなんとも誇らしくなる(笑) 通学・通勤・レジャーにと、当たり前のように乗っていた電車。成り立ちから現在に至るまでを熱く熱く語ってくれる筆者がきっと一番楽しんでる。京都に、神戸に行くにも人気なのは阪急。マルーンカラーの車体は憧れ。伊勢志摩ライナーや南海ラピートは見かけると、子どもじゃなくても、きっと心躍る。個性があふれすぎてもうたまらない。2017/12/07
たかしくん。
34
タイトル通り、関西の私鉄王国の「すごさ」を、これでもかと語ってくれる。相当なマニアにも新たな発見が得られると思います。そして、それが関西のJRのサービス向上にもつながっているんでしょうね。家内の実家の関係で、大阪に行くたびに思います。2016/09/18
HMax
28
関西の私鉄5社について、企業カラーはもとより、歴史、車両、技術志、等々、マニアックな解説を加えた関西私鉄ガイド。自動改札、動く歩道、自動券売機、「日本初」が多かった関西も、東京一極集中の影響で地盤低下が著しいですが、どっこいまだまだ頑張ってます。阪急梅田、南海難波、近鉄上本町のターミナルになれると、関東私鉄のターミナルは物足りない。 本書で一番の収穫は、ラピートのスーパーシートで難波入りすると、ベルマンに出迎えてもらえる。(スイスホテル南海大阪宿泊者限定)2022/03/21
なにょう
24
ちょっとついてけない所もあったけど、この本は看板に偽りなし。関西の私鉄五社のすごい、詳細な解説本。近鉄沿線居住者としては近鉄の項を興味深く読んだ。★まず、前書きに引き込まれた。世界中に鉄道はあるが、社会的地位や収入と関係なく誰もが鉄道を利用し、人々の生活に鉄道が深く入り込んでいる点が世界的にみてもユニークだ。…要約…(p10)この一文から著者の見識の豊かさを感じ、手にとったが間違いなかった。2017/03/28
ユー
12
学生時代は近鉄で通学していました。今でも、無性に遠くへ行きたいなと思った時は、近鉄電車に乗って、奈良の方面へ、ふらっと出掛けます。それだけの魅力が近鉄含めた関西私鉄にはありますね。特に印象深いのは「阪神電車」の項。単純に電車のスピード追及ではなく、家を出てから改札口を通り、目的地へ到達するまでの全てを含めたスピード感は、思わず唸らされました。2018/02/05