内容説明
かつて私たちの暮らしのまわりにあったものは、手をかけ、時間をかけてつくられたものばかりでした。時代が変わっても、人の手にしか生み出せないものがあります。日々こつこつと、ただひたすらに、それと向き合う職人たち。「特別なことはなにもない。ただ、毎日つづけているだけ」という言葉に、その矜持がにじみ出ています。時代を越えて受け継がれるものと、変わっていくもの、新たに生み出されるもの。ガラスペン、洋傘、結桶、陶工、日本茶農園など、ものづくりの背景や職人という生き方を知る、著者が惚れ込んだ16人の職人の物語です。
●はじめにより
・・・・・・とはいえ、誰かを取材して記事を書くことは、私の商売である。もやもやとした気持ちを抱えながらも、日々、人に会い、それらを綴っていくしかない。
綴りながらも、やはり、私はなにも成し遂げていない。つまるところ、「なんにもできないという事実」が、重くのしかかっていた。
でも、そんな日常を繰り返し仕事に没頭するうちに、その事実が少しずつ小さくなり、あるとき、すーっとラクになった。ありていに言えば、開き直ることができたということだけれども。
そう、私自身は無力でも、私には「なにかを成している人のことを伝える役割がある」と、自分の仕事に誇りを持てるようになったのだった。
以来、その気持ちで、プロフェッショナルな人々を取材し続けている。・・・・・・
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はるき
15
手ってその人を表すって言いますよね。勿論すっと伸びた長い指に憧れるし、手肌のケアは大事。でも、使い込まれた手はやっぱり素敵…。2021/09/19
K1
13
その仕事のために使い込まれた手の写真が最高にかっこよいです。16人の職人さんに対するインタビューだけではなく、その職に関する情報も書かれており、仕事の内容と職人さんの矜恃がとてもわかりやすかったです。2020/10/31
Gamemaker_K
7
少し読みにくい体裁だったが、どうしようもなく不器用なオイラにとって、この本は世界の偉人集に匹敵した。…特に若い職人の方々の熱意というか覚悟の清々しさがねえ、ほんとうらやましい。2020/04/21
breguet4194q
5
タイトル通り、職人の「手」にフォーカスした著作ではあるが、バックボーンの話が多いです。様々な経緯で今の職となっていますが、職人のプライドとストイックな姿勢には、本当に感動を覚えます。読んでいると、一種の憧れさえ感じます。ここで紹介されている職人くらい、自分は仕事に向き合えているか。見つめ直すといった面でも、読んでよかったと思いました。一つ注文をつけるなら、カラーページがもう少しあると、もっとリアルに読者に伝わったと思いました。2020/04/15
おきゅ
4
好きな人とうーんって人が出てきて進んだり進まなかったり。書き方にもちょっと馴染めなかったか。2020/02/05